新形コロナウイルス感染拡大第二波のまっただ中.現状はどうなのか,いつ終息するのか?報道各社が,政府新形コロナウイルス感染症対策分科会の分析結果を伝えていました.しかし,伝え方はまちまち.ウェブを見る限り,多くのメディアが不十分な伝え方だったのに対し,NHK,毎日新聞はほぼ正確に現状分析の結果を伝えていましたが,それでも完璧ではない.根拠をはっきりと示しているとは言い難いからです.

日本は新形コロナウイルス感染拡大第二波のまっただ中.

感染症学会理事長「今まさに第2波のまっただ中」…再生相「政府としての定義ない」 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

 

現状はどうなのか,いつ終息するのか?

多くの人が高い関心を寄せる中,報道各社が,政府新形コロナウイルス感染症対策分科会の分析結果を伝えていました.

報道の概要はもちろんどのメディアも同様でした.しかし,伝え方はまちまち.

多くの報道は,同時に発表されたワクチンの話題に重点を置いたものとなり,現状分析の報道はないがしろになっている感がありました.

 

ネット上での報道を見る限りですが,NHK毎日新聞,そしてBuzzFeedブルームバーグはほぼ正確に現状分析の結果を伝えていました.中でも毎日新聞は頭一つ抜き出た優れた記事でした.

しかし,それでも完璧ではないように思います.現状分析の根拠がはっきり示されているとはまだ言い難いからです.

限られた紙面/放送時間の中,新聞・テレビでは,十分な報道が難しいのかもしれませんね.

 

私が満足するのは,例えば下欄に示したような報道です.

毎日新聞の記事に,NHKの図,ウェブ上の毎日新聞記事からの数値,を加えたもの.

 

なお,政府からの諮問の有る無しにかかわらず,「感染曲線 epidemic curve (epi curve)」と「実効再生産数」を毎日発表してもらえたらと思います.時間のずれが生じてしまう数値ですが,感染拡大の様子を最も的確に示しているので.

“第1弾の制限緩和を発表した4月の記者会見。「制限緩和にはどんな基準が重要なのか」という質問に対し、メルケル首相は、1人の感染者が何人に感染を広げているのかを示す「実効再生産数」を1つの指標としてあげました” WEB特集 コロナ危機、頼れるリーダーの3つのチカラ | NHKニュース

 

メディア各社は,政府/自治体/専門家集団に要求すべきです.

“直近の「感染曲線 epidemic curve (epi curve)」と「実効再生産数」を毎日発表せよ” と.

なぜしないのか,私には全く理解できません.

ほぼ無意味なPCR論争を仕掛けている場合ではないのでは?

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-okabe-8-1

 

 

 

コロナ流行見極め,なお時間 収束兆し言及しつつ…分科会「予測難しい」

毎日新聞2020年8月21日 21時22分(最終更新 8月21日 21時53分)

 

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は,再流行が収束に向かう兆しについて言及しつつも,断定は避けた.

ある分科会メンバーは「今後の流行を予測するのは難しい」といい,見極めにはまだ時間がかかりそうだ.

 

 分科会は,感染状況を評価する際,

①発症日別に見た1日あたりの新規感染者数の推移(流行曲線)

②1人の感染者から平均して何人にうつすかを示す「実効再生産数」の推移――を重視している.

 

 ①から,全国の感染状況は,7月27日の817人と,同29日の814人をピークに下降していた(⇒*).都道府県別では,東京都,大阪府,愛知県のいずれも7月末がピークだった.

分析した東北大の押谷仁教授は「東京都は高止まりの可能性があり,急激には下がることはない」と指摘.8月も感染拡大が続いた沖縄県は「不確実だが,少しずつ減っている可能性もある」と述べるにとどめた.

 

 ②は,京都大の西浦博教授が東京など4都府県について分析した.いずれも「1」を下回り感染者が減る傾向がうかがえた(⇒**)が,大きくは下回っておらず,再び増加に転じる可能性が残った.

 

 そもそも新型コロナは感染してから検査結果が判明するまで時間がかかり,現時点の感染状況は2週間ほどたたないと把握できない.例年より少ないながらも,お盆休みの帰省や旅行があり,その影響で感染拡大したかどうかを見極めるにはまだ数日かかるとの指摘もある.

 

 ある分科会のメンバーは「今の傾向が続けば『第2波』がピークを越えて収束に向かう可能性はあるが,断定はできない.国民の気が緩むのは怖い」と話す.新規感染者数のピークから遅れて重症者が増えることから,メンバーの平井伸治鳥取県知事は「医療機関など現場の負担は高まっている.単純にピークアウトしたとは思っていない」とくぎを刺した.

【原田啓之】

 

⇒* 全国的には,今回の感染拡大で7月27日から29日にかけて発症者数がピークとなり,その後,緩やかに下降傾向になっていて,一部地域では新たな感染者の数が減少傾向にあるとみられるということです.

コロナ分科会 “感染拡大ピーク達するも再び増加のおそれ” | 新型コロナウイルス | NHKニュース

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⇒** 実効再生産数は「1」を下回ると感染が減少局面に入ったと判断できる.公表資料によると,8月3日時点で,東京は「0・8」,大阪は「0・9」,愛知は「0・8」,沖縄は「0・9」と試算

6月以降の感染再拡大「7月末にピークに」 コロナ分科会が評価 - 毎日新聞

 

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全国的には感染は「ピークに達した」と考えられる-コロナ分科会 - Bloomberg https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/senmonka-bunkakai-6-1

 

毎日新聞 2020年8月22日 朝刊

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