英国ボリス・ジョンソン首相が対コロナウイルス政策の転換について国民に演説:「実に多くの家族が身内・親友を失う(政府の方針は人口の60%の感染で流行が収束する見通し)」「もはや感染を止めるのは不可能なのでゆっくり感染して集団免疫を獲得すると明言」 ドイツのメルケル首相:「(独国内)人口の6~7割が感染する可能性がある」との専門家の見方に言及. 英国政府首席科学顧問「休校の効果はあるものの最小限です.効果を上げるのは13~16週間以上の休校が必要になります.実行できる可能性はゼロ」

新型コロナウイルス流行の中心地は今やヨーロッパ.

このブログを書いている最中も,テレビで,ドイツの国境管理厳格化のニュースを伝えています.

 

「大流行の中心」のヨーロッパ ドイツが国境管理厳格化

NHK NEWS WEB

2020年3月16日 19時38分

「大流行の中心」のヨーロッパ ドイツが国境管理厳格化 | NHKニュース

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新型コロナウイルスの感染拡大について,WHO=世界保健機関が,「世界的な大流行の中心」とするヨーロッパでは,域内最大の経済規模のドイツで,国境管理が厳格化されるなど,各国は次々と厳しい対策に乗り出しています.

WHOは,15日現在で,新型コロナウイルスの感染が147の国と地域に広がり,感染者の数は前の日に比べて1万982人増えて15万3517人,死者の数は343人増えて5735人に達したと発表しました. 

このうち感染者が8万人を超える中国では,新たな感染者の数は減少傾向に転じる一方で,ヨーロッパでは感染者が急増するなど,WHOは,「世界的な大流行の中心」と指摘しています.

こうした中で,ヨーロッパでは,国境管理を強化する動きがあいつぎ,チェコポーランドなどがすでに外国人の入国を原則禁止する措置に踏み切りました.

さらに16日からは,域内最大の経済規模のドイツでも,隣接するフランスやスイスなど5か国との間で,国境を越えて通勤する人などを除いて,入国と出国を禁止しました. 

このため5か国との国境付近の道路では警察によって規制が敷かれているほか,鉄道も運休が相次いでいます.

 

この世界的規模の生物自然災害http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/03/12/002204が長期に及ぶことはほぼ確実になってきているようですが---

yachikusakusaki.hatenablog.com

 

一体いつまで?

が私たちの関心事になってきています.

 

そんな中,イギリス・ジョンソン首相の演説が,ネット上で話題になっています.

英国首相、新型コロナウイルス封じ込め断念を表明「すでに1万人の感染者がいるだろう」→「まっとうなことを言っていて困惑」「ボリスに感心する日がくるとは」「正直羨ましい」 - Togetter

 

ただ,私がざっと調べたところでは,大手のテレビ・新聞ではほとんど取り上げられていないように思います.余りに露骨な言い方だったからでしょうか?

 

何日か前の,ドイツ・メルケル首相の記者会見はほぼ全てのテレビ・新聞が取り上げていたのに.

例えば読売新聞の記事では:

 

「人口の6~7割感染の可能性」専門家の見方,独首相が言及

読売新聞オンライン

2020/03/12 11:13 

 【ビリニュスリトアニア)=石崎伸生】ドイツのメルケル首相は11日,ベルリンで開いた記者会見で,新型コロナウイルスのワクチンや治療法が確立していない現状では,(独国内)人口の6~7割が感染する可能性があるとの専門家の見方に言及した.その上で,「最も重要な対策は感染の拡大を遅らせることだ」と述べ,感染拡大の抑制に努める考えを強調した.

 メルケル氏は,高齢者を優先的に守ることの重要性を強調し,「私たちの団結や理性,思いやりの心が試されている」と述べた.独政府は大規模なイベントの中止を求めており,サッカーの試合を無観客で行うなどの対策が広がっている.

 

このメルケル発言は言い方を変えれば,

“(独国内)人口の6~7割が感染するまで流行は収まらない可能性がある”

ということかと思います.

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メルケル独首相「全人口の6~7割感染も」 新型コロナ (写真=ロイター) :日本経済新聞 英国首相、新型コロナウイルス封じ込め断念を表明「すでに1万人の感染者がいるだろう」→「まっとうなことを言っていて困惑」「ボリスに感心する日がくるとは」「正直羨ましい」 - Togetter

 

内容としては,ほぼ同じことを言っているように思われるものの,大手のメディアが報道をためらい?ネット上で話題になり,イギリスでは議論を呼んでいるらしいジョンソン首相の発言.

 

ネットの記事を読んだ限り

流行の収束については,メルケル発言を一歩も二歩も進めて,“人口の6割が感染するまで流行は収まらない”言い切った内容となっているようです.

(最悪シナリオの罹患率はドイツの70%を上回る80%に設定して実行計画を立てている?)

 

演説をそのまま訳してくれているサイトが見当たらないので,その真意を推し量ることもできませんが,ジャーナリストの方,免疫学者の方の意見・感想を交えた投稿をヤフーニュースで見ることができます.

関心のある方はぜひ読んでみてください.

新型コロナ なぜ一斉休校しないのか? 英国の首席科学顧問がお答えします イランでは長さ90mの墓穴(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース

英首相の「降伏」演説と集団免疫にたよる英国コロナウイルス政策(小野昌弘) - 個人 - Yahoo!ニュース

以下に一部を転載させて頂きますので,参考にしつつ.

 

 

新型コロナ なぜ一斉休校しないのか? 英国の首席科学顧問がお答えします イランでは長さ90mの墓穴

木村正人  | 在英国際ジャーナリスト

3/13(金) 11:23

 新型コロナ なぜ一斉休校しないのか? 英国の首席科学顧問がお答えします イランでは長さ90mの墓穴(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース 

 

「熱や咳があれば1週間自己隔離を」

[ロンドン発]新型コロナウイルスの流行で,ボリス・ジョンソン英首相は12日,イングランド主席医務官と政府首席科学顧問と並んで会見し「私たちの世代が経験する公衆衛生上最悪の危機だ」と宣言.「熱や咳のみられる人は1週間自宅で自己隔離して下さい」と呼びかけました.

ジョンソン首相は神妙な表情で「自分は英国民に対して正直でなければならない.より多くの家族が彼らの愛する人たちを失うことになる」と語りかけました.

イギリスは「封じ込め」フェーズから感染のピークを遅らせて山を低くする「遅延」フェーズに移行します.ピークは10~14週間後にやってくるとみています.

海外への修学旅行の中止や基礎疾患のある人のクルーズ船旅行の自粛も呼びかけました.

欧州連合EU)の加盟国がスポーツイベントなど大規模集会の中止や一斉休校など大胆な措置をとる中,作戦の逐次実行に徹しています.

イギリスの感染者は596人,死者は10人,集中治療室(ICU)で治療を受けているのは20人超です.

パトリック・ヴァランス政府首席科学顧問は「イギリスの実際の感染者は他国の検査数と陽性率を見ると5000人から1万人いるとみられます」と分析.もはや感染を止めるのは不可能なのでゆっくり感染して集団免疫を獲得すると明言しました.

免疫を持つ人が一定割合まで増え,感染を防ぐようになることを「集団免疫を獲得する」と言います.数理モデルをつくる英インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授のこれまでの発言を聞く限り,イギリスの集団免疫レベルの基本シナリオは60%とみられます.

来シーズンにはワクチンが開発されている可能性があるため,感染して自分で免疫を獲得した人とワクチン接種を受けた人の割合をコントロールしながら60%に持っていく戦略と筆者はみています.

しかし,それを国民向けの記者会見で公言するとは思ってもみませんでした.

 

「今封じ込めすぎると冬に病院がパンクする」

今封じ込めすぎて感染のピークがNHS(国民医療サービス)の繁忙期である冬にやって来ると大変なので一番暇な夏に来るようにコントロールする目標まではっきり示しました.最悪シナリオの罹患率はドイツの70%を上回る80%に設定して実行計画を立てていると言います.

ヴァランス顧問によると,スポーツイベントなど大規模な集会より感染リスクが高いのは密閉空間での密接な会合だそうです.今,一斉休校をしない理由についてヴァランス顧問はユーモアを交えてこう説明しました.

「休校の効果はあるものの最小限です.効果を上げるのは13~16週間以上の休校が必要になります.しかし子供に友達と会ってもダメ,おしゃべりしてもダメと言っても実行できる可能性はゼロであることぐらい最先端の数学者でなくても分かるでしょう」

ジョンソン首相は「一斉休校は効果より害の方が大きい」と説明しました.もちろん状況が変わって特別なアドバイスがあれば休校するという選択肢は残しているそうです.

 

イタリアの轍を踏まないためには

(略⇒本文参照)

イランでは遺体を埋める長さ90メートルの墓穴

(略⇒本文参照)

日本では「緊急事態宣言」を可能にする法案

(略⇒本文参照)

 

 

英首相の「降伏」演説と集団免疫にたよる英国コロナウイルス政策

小野昌弘  | イギリス在住の免疫学者・医師

3/15(日) 13:16

 英首相の「降伏」演説と集団免疫にたよる英国コロナウイルス政策(小野昌弘) - 個人 - Yahoo!ニュース

英国のボリス・ジョンソン首相が,対コロナウイルス政策の転換について,国民に演説を行った.この演説でジョンソンが「感染が広がるにつれ,実に多くの家族が身内・親友を失う」という誰にでもわかる強い言葉を伝え,大きな衝撃を与えている.さらに,英政府の基本方針が国民の多数がコロナウイルスにかかることで「集団免疫」をつけることを流行収束の目標とすることが明らかになり,英国内で異論が噴出している.

政府の方針が人口の60%の感染で流行が収束する見通しであることから,テレビのニュースは,全英の人口5%にあたる200万人が感染により重体となり,0.7%にあたる27万人が死亡する予測を伝えた.この衝撃的な数字は,英国内に確実にパニックを引き起こしている. 

まず明確にしたいが,感染症疫学の問題は非常に専門性が高いので,これに関して免疫学者である私には何も言うべき事はない.しかしながら,「集団免疫」についてかなりの誤解が広まっていること,本問題がいくつもの分野にまたがり誰にも全貌が見えない状態に陥っていること,また英国の状況の理解が断片的になっていることに気がついた.さらに,英国の経験を日本の社会のひとたちが的確に理解することは今後大変重要になると思われることから,この記事を書くこととした.

 

誰にも免疫がない感染症が爆発的に流行することについて

ジョンソン首相は左右に主席医務官と主席科学アドバイザー(注1)を率いて演説を行った.これは首相・内閣が医師・科学者から良質なアドバイスを受けていることを象徴的に示す.だからこそであるが,ジョンソン首相の今回のコロナウイルス流行の基本理解は実に的確である.

ジョンソンは「コロナウイルスは全世界に広がり,英国内にも今後数カ月のあいだ広がり続ける」と世界的流行(パンデミック)に至っている事実を確認し,問題が数週間で終わるものではないこと,すなわち英国にも相当な影響がでることを明確にした.

さらに,ジョンソンはコロナウイルスは「季節性インフルエンザに比べる人もいるけれど,それは正しくない.(社会の誰にも)免疫がないのだから,この病気はもっと危険だ」とする.これは実のところ的確簡潔にコロナウイルス問題の本質を説明している. 

(以下略⇒本文参照)

 

開戦演説ーあるいは「降伏」演説

(略⇒本文参照) 

集団免疫

(略⇒本文参照)

集団免疫方針への批判

(略⇒本文参照)