NHKニュース7
新型肺炎 相継ぐ感染 “新たな段階”に
専門家に聞く
東北医科薬科大学 賀来満夫特任教授
「このように,各地域で中国と必ずしも関連がない方が発症してますよね.こういうふうに感染の流行が,日本のどこで起きてもおかしくないような,そういった状況であるということを受け止める必要があると思います」
「新しい段階に入ったと考えることが必要だと思います」
「いつでもどこでも,このような状況が起こりえる,という認識なんですね.新型コロナウィルス感染症が,どこでも起こるということを,私たちが十分認識して,それに基づいて対応をとっていくことが必要になります」
「感染力はインフルエンザと同等かやや強いのではないか.ただ,致死率は,亡くなる率は,持病のある方,基礎疾患のある方,あるいや高齢の方はやや高いんですけども,一般の方は致死率は低いと考えていいと思います」
「冷静に対応して,症状がもし悪くなった場合には,すぐに医療施設に行くというふうにして,手洗いの徹底,そういったことをまず行っていただいて,自分を守る,あるいは,他の人にうつさない.というような姿勢を,しっかりと持ってもらいたいと思います」
「この一ヶ月ですね.この様子を見ていく必要があると思います.この一ヶ月間広がっていくのか,あるいは,そう広がっていかないのか,今が一番大切な時期.冷静な対応が求められていると思います.
(一ヶ月というのは)潜伏期が2週間あるといわれているんですけれど,これの約2倍,この時期,どういうふうに患者さんが出てくるのか,こないのか.そういったことが判断の目安になると思います」
「感染が起こった場合,重症化し悪化しやすい.持病のある方ですとか高齢の方の速やかに医療施設で見ていただく態勢づくり,そういったものがまず必要になる.
高齢の方,持病のある方が,少し具合が悪いときに,かかりつけから大きな病院にすぐ紹介できるような,そういった病院がすぐにそれを受け入れていただけるような態勢づくりが必要になると思います.
全ての医療機関で注意して,重症な方をできるだけ重症化しないようにする工夫.そういったものが求められると思います」
「手洗いするだけで,呼吸器感染症は50%ぐらい低下するといわれているんです.ですから,まず手洗いを徹底していただきたい.そのあとは,咳が出るときはマスク.換気.手をつくところの消毒.こういったところが必要になると思います」
「(通勤通学については)喉が痛い,咳が出るということがあれば,少し,満員のバスとか電車は避けていただく.マスクをつけていただく.一般の方は手すりとかいろんなところがあると思いますから,自分の口や鼻に手をやらない.あるいは,降りたときにアルコールティッシュで手を十分にふく.というふうなことが求められると思います.
(触ってしまったら)確実に手をふいていくということですね」
「体調がすぐれなければ)遠慮することなくクリニックで受診してもらいたいと思います.スムーズの早く見ていただくことが重要ですので,ぜひそれを守ってください.
まずはかかりつけ医に.そこで判断していただいて,そこから紹介していただく.そういったことも重要になってくると思います」
国内で感染相次ぐ
専門家に聞く
東京医科大学濱田篤郎教授
初めての死者 どう受け止め
「今回亡くなられた方,非常に残念なことで,ご冥福をお祈りしたいと思うんですが,新型のコロナウィルス,高齢者に感染した場合,重症化というのはある一定の割合で起こるものなんですね.そういったことで,特に80を超えてらっしゃる方ということなんで,重症化してお亡くなられたと思うんですけど,可能であれば,生前生きているうちに診断がついていれば,もう少し,積極的な治療ができたかもしれません.
そのへんは,今となっては,どういう状況で亡くなられたかが,まだ,そこまで分からないんですけどね.
あの〜,やっぱり今後,こういうケースがあった場合には,迅速に疑って,コロナウィルスによる肺炎というものをですね,診断・治療に結びつけていかないといけないかなと思いますね」
タクシー運転手の方など新たな国内感染者の感染について
「タクシーの運転手,今回,ある程度はっきりしているのは,タクシーの運転手の方,お医者さん/医療従事者,こういった方というのは,感染リスクがある程度高いかなと.お医者さんは患者さん見ます.そして,タクシーの運転手も不特定多数の方を乗せ,密室の中で運転をする.そうおうことで,先日はバスの運転手さんが奈良の方で発症しましたしね.そういう意味で感染しやすい人が発症したということなんですが,やはり,どこから感染したのか/誰から感染したのか,それから,誰に接触したのか,この二つをとにかく早急に突き止めていかないといけないわけなんですね.特に大事なのは,誰に接触したか.というのは,接触した人が感染している可能性もある.そうすると,さらに二次感染というものが三次感染へとつながる可能性もあるので,今その辺は,自治体なり,政府もかなり力を入れてやっていると思いますけど」
各地で感染者 どうみる?
「私は,これは憂慮すべき事態だというふうに考えます.というのは,今まで,日本では,2月5日以来,新しい患者さんが国内では出なかった.クルーズ船の中とかでは出ていたんですけど,国内では出ていなかった.
本当に患者さんがいないのか,という疑問もあった.それは,検査がある程度限られた人しか受けられない.中国の湖北省から帰って来たとか,そういう特殊な方だったんですけど,おそらく,自治体の方なりで検査を拡大したのではないかと思います.その結果,患者さんがいろんなところで見つかってきた.ということは,今後,他にもいろんな日本各地で患者さんが見つかってくる可能性も出てきているのかなというふうに思います」
私たち国民の対策は?
「そうですね.まずは,今回不幸にも亡くなられた方はいますが,今回の新型コロナウィルス,そんなに致死率が高いものではないんですね.ハイリスクの方でなければ,大体0.2%を切るぐらい,インフルエンザと同じぐらいなんです.それをまずもう一回思い出していただく.その上で,基本的な予防対策,手洗いということが,毎回言われていますが,これを皆さんてってしてやられていただく.外に行くときには,マスクがあれば,していただいた方が安心かと思います」
(多発を受けて)どんな対策必要?
「こういうふうに国内で多発してくると,今度は,国内の医療機関の整備,こういった患者さんを受け入れる医療機関を早急に整備する必要がある.もちろん,検査態勢も整備する必要がある.ただ,今回のクルーズ船のことでも明らかになったんですけど,なかなか今,そういった整備がうまくいってない.そのためには,ちょっと時間を稼いでいかなくてはいけない.そのためには,ある程度,入国を制限するとか,中国からの地域を広げるなり,そういった対応をとる必要があるのではと考えますけどね」
「指定医療機関が400弱あるわけですけど,そこだけでは賄いきれない可能性が大きいです.それ以外の大きな総合病院とか,そういったところも,こういった患者さんをみるとか,重症な方をちゃんと治療するような体勢を早急に立てていく必要があると思います」
「予防と言うこともございますが,症状,たとえば熱とか咳とか出て,あるいは呼吸器症状が長引いている場合には,早めに医療につなげる.ただ,これは医療機関に直接行くのではなくて,今,帰国者接触コールセンターというものが,各自治体にございます.そちらに連絡をして,指示に従っていただくということが必要じゃないかと思います」
付け加えて
「まず,冷静になっていただくことが大事だと思います.今回,残念にも亡くなられた方,いらっしゃいましたけど,致死率というますか,毒性はそんなに強いウィルスではないと言われてるわけですから,着実な予防方法をとって,疑いがある場合には,早めに受診していただくと言うことで,うまく対応ができるんではないかなと考えてるんですけどね」