ゴミ問題の記事二つ(東京新聞) 一つ目は私を多いに励ましてくれました.[1]「本音のコラム」 プロの仕事 斎藤美奈子  思わぬものにハマってしまった.片づけや掃除の専門会社がアップしたいわゆる「ゴミ屋敷」を片づける動画である---.// 二つ目は,私を,ただただ,やりきれない気持ちにさせる記事.[2]環境相「原発処理水 放出しかない」 漁業者反発「軽々で不快」 原田義昭環境相が東京電力第一原発の処理水について海洋放出しかないと発言したことを巡り,福島県内の漁業関係者や識者からは「軽々な発言だ」---

ゴミ問題についての記事が 東京新聞朝刊(2019年/令和元年 9月11月 水曜日),二つ掲載されていました.

 

一つは,私を大いに励ましてくた,次の記事.

 

[1]「本音のコラム」

プロの仕事 斎藤美奈子 

 思わぬものにハマってしまった.片づけや掃除の専門会社がアップしたいわゆる「ゴミ屋敷」を片づける動画である.

 キッカケは部屋に積もった本と紙の山を片づける必要に迫られたから.プロの手を借りないともう無理かもと観念し,検索途中でぶつかったのが愛知県の専門業者の動画.これが時間を忘れるほどおもしろい.

 第一に,モノに埋もれたお宅は世の中にこんなにあるのかという感嘆というか安堵感.ワンルームから二階建ての民家まで物件は多様だが,うずたかくモノが堆積した部屋は壮観でさえある.

 第二にそれを黙々と,だが生き生きと片づけるチームの動作.余計は詮索はせず,いちいち驚きもせず,ひたすらモノを分別し袋詰めして外に出す.彼らは軽々しくゴミとか捨てるとか口にしない.可燃,不燃,缶,びん,ペットボトル,紙.拾う,回収する,移動する,運び出す---だ.

 ゴミ屋敷は通常,社会問題として扱われる.部屋の主は異常人格者,ときには犯罪者のような扱われ方をする.だが編集もナレーションも社員が担当するこの動画はユーモアたっぷり,しかも依頼者への敬意を忘れていない.「こんなの普通ですよ」な明るさになぜだか元気づけられる.

 単身世帯が増えている今日,実際それは普通じゃないのか.悩める人はあなたや私だけではないのだ.

(文芸評論家)

 

 

一つ目と違って,二つ目は,私を,ただただ,やりきれない気持ちにさせる記事.

 

[2]環境相原発処理水 放出しかない」 漁業者反発「軽々で不快」

  原田義昭環境相東京電力第一原発の処理水について海洋放出しかないと発言したことを巡り,福島県内の漁業関係者や識者からは「軽々な発言だ」「なぜ閣僚がそんな言葉を」と反発や疑問の声が上がった.

 県漁業協同組合連合会は海域と魚種を絞った試験操業を行い,放射線物質濃度を検査した上で出荷しているが,根強い風評被害に苦しむ.野崎哲会長は「環境相は福島の現状を理解していない.あまりに軽々な発言で不快だ」と語気を強めた.

 「漁業関係者は心配だろうが,放出しなければ処理水がたまる一方だ.簡単な問題ではない」と複雑な表情を浮かべたのは,第一原発が立地する同県大熊町に住む無職伏見明義さん(六八).一方,県原子力安全対策課の担当者は,処分方法を検討している政府小委員会に「福島の漁業関係者の声を踏まえ,慎重に議論してほしい」と求めた.

 政府小委の委員も務める東京大大学院の関谷直也准教授(災害情報論)は「処理水をため続けることになった経緯に全く向き合っていない乱暴な発言だ」と憤る.「科学的に安全というだけでは処分方法を決められないので社会的,経済的影響を議論している.その最中になぜ閣僚からこんな言葉が出るのか」と批判している.

 

 

 

原子力問題「専門家」の大多数の意見を,うっかり? or 確信犯として?環境相が代弁してしまったと読めます.

 

しかし

「様々な原発ゴミは貯められるばかり.どれ一つとして処理/処分方法が解決済みのものはない」

 専門家でもない私の印象ですが,例えば,今日のNHKニュース首都圏でも

「指定廃棄物」処分のめど立たず|NHK 首都圏のニュース

東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した放射性物質を含む「指定廃棄物」について、関東地方では1都5県で合わせて2万トン余りが保管されていますが、事故から8年半がたった今も処分のめどは立っていません。

環境省によりますと、原発事故で発生した放射性物質を含む焼却灰や汚泥、稲わらなどの「指定廃棄物」は、ことし3月末の時点で関東地方の1都5県で合わせて2万2951トンに上ります。
最も多いのが栃木県の1万3533.1トン、次いで、千葉県が3710.9トン、茨城県が3535.7トン、群馬県が1186.7トン、東京都が981.7トン、神奈川県が2.9トンとなっています。
いずれもごみの焼却施設や下水処理施設、それに農地などで保管されています。
環境省は、このうち栃木県と千葉県では専用の処分場を建設する計画で候補地を提示していますが、地元の反対などで計画は進んでいません。
また、茨城、群馬、東京、それに神奈川では、既存の処分場を活用しながら処分を進める方針ですが、処分場や時期について自治体との協議が進んでおらず、すべての都と県で最終処分のめどは立っていません-----」

 

そして,処理/処分方法が解決されない理由は次の二つ.

 

1.「安全性が懸念されているため」

 

2.「”例え,専門家が『安全』と言っても,国民が『安心』しなければ,政策は遂行できないし,強行してはいけない” が,環境社会政策の基本であるため」

 

一言で言えば,安心安全がともに担保されていないこと.

 

原発ゴミの中で最初に「ゴミ箱」がパンクするであろう「処理水」タンク.

福島第1原発の処理水タンク「22年夏に満杯」=東電が初の見通し:時事ドットコム

f:id:yachikusakusaki:20190911234408j:plain

原発処理水タンク22年夏に限界 東電試算、保管容量増も困難 | 共同通信

 

国が,そして原子力専門家は希釈しての放出は安全としているようですが----,本当に安全なのでしょうか?そして,私たち国民を安心させることができるのでしょうか?

安心が担保されない限り,漁業への影響は,福島に留まらないでしょう.海はつながっていますから.

 

そもそも「処理水」という名前にも問題ありと思います.

処理する方法がないためトリチウムが残ってしまった「(他放射性物質除去)処理後のトリチウム汚染水」では?

 

このような小さな積み重ねが,我々国民に,もしかしたら世界にも,不信感を植え付けていく---- 

 

専門家が安全としたとしても,原発推進(正確には:原発は「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」)の旗印をおろした上で,国民に理解を求める姿勢が,最低限,必要ではないでしょうか.

 

f:id:yachikusakusaki:20190911225711j:plain

 

f:id:yachikusakusaki:20190911225727j:plain