ルバーブ(3) 第一次大戦中のイギリス.食糧難の中,ルバーブの葉も食べることを奨励⇒胃痛、下痢、吐き気、嘔吐及び腎臓損傷.最も疑わしいとされるのが葉に含まれるアントラキノングリコシド.はじめ疑われたシュウ酸は,ホウレンソウなど他の可食野菜にも含まれます.

一昨日から話題として取り上げているルバーブ

最終回の今日は,ルバーブの毒性について.

 

f:id:yachikusakusaki:20190521010208j:plain

Rhubarb - Wikipedia ルバーブビーツジャム | 新鮮野菜直送 

ルバーブの葉は毒

ネット上には,ルバーブの葉の毒性に触れた記事がかなりの数見つかります.いずれも抑制されたきちんとした記事が多いように思います.

例えば,

https://i-yasai.com/rhubarb/

食品安全委員会が,この案件に関してはかなり的確に情報を流しているためでしょう. 自前ではなく,ベルギー政府の情報を引用してですが.

食品安全関係情報詳細

そのほかの国,例えばカナダ政府機関の情報も,ベルギーとほぼ同様の内容です.

https://www.cbif.gc.ca/eng/species-bank/canadian-poisonous-plants-information-system/

 

これらを簡単にまとめると,以下の通り.

ルバーブの毒性が特に問題とされたのは,第一次大戦中のイギリス.食糧難の中,ルバーブの葉も食べることが奨励されたようで,死亡例も含めた急性中毒例が複数見つかりました.

症状は胃痛、下痢、吐き気、嘔吐及び腎臓損傷.

原因物質はまだ特定されていないものの,最も疑わしいとされるのが葉に含まれるアントラキノングリコシド.はじめシュウ酸が疑われたものの,食用にできる他の野菜にも含まれているため,原因物質として考えにくいとされています.

なお,葉には毒性があるものの,葉柄は食用として全く問題ないとしています.

 

ルバーブ中のシュウ酸

ルバーブの葉の毒性原因物質がシュウ酸であることはまずありません.しかし,上記の記事では,その可能性を完全に否定したわけではない.科学的に表現しようとするとこれは仕方のないことなのでしょう.

代わりにルバーブのシュウ酸含有量を他の野菜と比較してみましょう.どう判断されますか?

 

f:id:yachikusakusaki:20190522015437j:plain

http://helios.hampshire.edu/~nlNS/mompdfs/oxalicacid.pdf

 

シュウ酸の毒性

しかし,シュウ酸がルバーブ葉の毒性原因物質として疑われたのは何故でしょうか.

おそらく---

シュウ酸を大量に摂取すると,シュウ酸:粘膜腐食作用、低カルシウム血症、循環系障害、腎障害が起こることが広く知られているため.(成人傾向致死量は15〜50g)

(ネット上ではインク消しの中毒としての情報しか見つかりませんでしたが--)

www.umin.ac.jp/chudoku/chudokuinfo/f/f171.txt

 

また,シュウ酸が過剰に作られて体にたまる病気=原発性シュウ酸尿症(⇒腎結石・腎不全)もシュウ酸の毒性を側面からアピール.

原発性高蓚酸尿症 | 国立成育医療研究センター

 

そして,食品から摂取するシュウ酸の量/体内にたまる量は,これら,急性中毒が見られる量・先天性疾患における体内量に比べ,桁違いに低い.

シュウ酸は,ルバーブ葉の毒性を説明できませんね.