春の星座,しし座.
そして,古代メソポタミア,シュメール語では,UR.GU.LA.これもライオンという意味.
Star Myths | Theoi Greek Mythology
「ギリシャ・ローマの人々は,古代メソポタミアで描かれた星座絵をそのまま用い,自分たちの神話にあるネメアーの獅子を,この星座の主とした」
ということですね.
“由緒正しき怪物”ネメアーの獅子.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/03/26/012705
yachikusakusaki.hatenablog.com
次のような,ギリシャ神話の代表的著作に取り上げられています.
ヘーシオドスの「神統記」では,ネメアーの獅子の系譜とヘーラクレースに退治された経緯が語られ,
偽アポロドーロス「ビブリオテーケー(ギリシャ神話)」では,ヘーラクレースの十二の偉業の第一に位置づけられました.
そして,星座にあげられたことを記しているのが,ヒュギーヌス「天文詩」.
ヘシオドス「神統記」 廣川洋一訳 岩波文庫
さて女怪(エキドナ⇒*脚注)は 手のつけられぬ火を吐くキマイラを生んだが
これは 怖るべき怪物で 体躯巨大 脚も迅く 剛力であった.
怪物(キマイラ)には三つの首があって ひとつは 目つき鋭い獅子の首
ひとつは牝山羊(キマイラ)の首で もうひとつは猛だけしい竜(ドラゴーン) 蛇の首であった.
(前は獅子 後ろは竜 まん中は牡山羊で
燃えさかる火の勢いをすさまじく吐くのだった.)
CHIMERA (Khimaira) - Three-Headed Monster of Greek Mythology
この女怪(キマイラ)をペガソスと気高いペレロポンテスが撃ちとった.
だが女怪はまた テバイ人らの破滅の因(もと) 忌まわしいピックス(スピンクス,英語読みスフィンクス)を生んだ
オルトス(オルトロス)の愛をうけて.またネメア(ネメアー)の獅子を生んだが
この獅子を ゼウスの栄ある妃ヘラ(ヘーラー)が育みたまい
人間どもにとっての災厄として ネメアの山峡(かい)に棲まわせられたのだ.
この獅子はここに棲みついて 人間どもの族を喰い殺し
ネメアのトレトスとアペサスの山を支配した.
だが これを力強いヘラクレスその人が撃ち殪(たお)した.
NEMEAN LION (Leon Nemeios) - Labour of Heracles in Greek Mythology
(系図については,諸説あります.例えば,ネメアーの獅子の父をテューポーンとする説,偽アポロドーロス「ビブリオテーケー」,もありますが,ヘーシオドス「神統記」に記載がある部分については,これに従いました
*また,岩波文庫版では,キマイラを生んだ女怪をヒュドラとしています.しかし,the Theoi project にある英文翻訳文では,エキドナとなっていましたので,これに従いました.
Hesiod, Theogony 319 ff (trans. Evelyn-White) (Greek epic C8th or C7th B.C.) :
"She [Ekhidna (Echidna)] bore the Khimaira (Chimera), who snorted raging fire, a beast great and terrible, and strong and swift-footed. Her heads were three: one was that of a glare-eyed lion, one of a goat, and the third of a snake, a powerful drakon (serpentine-dragon).
CHIMERA (Khimaira) - Three-Headed Monster of Greek Mythology