蒲生の大クス 幹周り24.22m.日本最大だ.樹齢1500年.高さ30m.内部は,8畳ほどの空間が,ビル4階分の高さまで.幹は,ほぼ全身が,別の植物で覆われていた.この木を中心に神社ができ,人が住み,町ができたという.「まだ私たち,何十年なんで,まだまだ頑張れるなって,勝手に」「この中に入って隠れたりとか,ちょっと思春期の頃とかに,一人で,よく考え事とかやってました(笑い)」

14の巨樹に,美しい映像で出会える番組

神様の木に会う 〜日本巨樹の旅〜

NHKBSプレミアム(1月4日金曜)【語り】工藤夕貴,美輪明宏

yachikusakusaki.hatenablog.com

鹿児島県姶良(あいら)市の蒲生(かもう)八幡神社

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http://www.kamou80000.com/okusu.html

この境内に日本一の巨樹がある.

蒲生の大クス(特別天然記念物

幹周り24.22m.日本最大だ.

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https://www.budgetrentacar.co.jp/blog/chiiki/1243

巨樹の大きさは,地上1.3mの幹周りの太さで決まる.1988年に国が日本一に認定した巨樹だ.

樹齢1500年.高さ30m.

この木を中心に神社ができ,人が住み,町ができたという.

いつの時代も,ご神木としてあがめられてきた.

 

「言葉出てこないですね.本当に.うれしくて.神様が自分を見守ってくれているような気がして.生きてるって.うれしい」

 

「すごいなと思って.まだ私たち,何十年なんで,まだまだ頑張れるなって,勝手に」

 

この日は,近くの蒲生小学校の写生大会.

取材者「これは何?」小学生A「蒲生にそびえ立つ大クス」「見せて?」「日本一の大クス」 

根っこの間近で,描く子がいた.

取材者「何が一番描きたいの?」小学生B「あのドアらへんが」 

巨樹の幹に,ドアのようなものが描かれている.

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https://www.budgetrentacar.co.jp/blog/chiiki/1243

 

大クスを遊び場にして育った近所の人に聞いた.

「ここですね.今はこういうふうに,扉が閉まってるんですけど,ここはもう,自由に.もっと木の裂け目みたいになってて,そこから入っていけたんですよね.

この中に入って隠れたりとか,ちょっと思春期の頃とかに,一人で,よく考え事とかやってました(笑い).

昔から,その時代時代の悩みを,みんな拝みに来て.神様に願いに来るわけじゃないですか.心願成就.そういう---いつの時代も,多分いろんな人たちの悩みとかを,ずっと見届けてるんだな,と思うとすごいなと思いますね.なんか.特別な存在ですね」

 

大クスの中は,どうなっているのだろうか?

特別に許可をもらい,内部の撮影ができることになった.

姶良市教育委員会深野信之さん「ちょっと中に入ってみましょうか」取材者「こうなってるんですね」

「そうですね.今,中にですね,こういう観察用のやぐらを作っておりまして,実は,蒲生のクス,年に4回,樹勢診断という樹木医による診断を行っておりますので,そのために,このやぐらを組んで,このやぐらを登って,この内部のですね,樹勢診断を樹木医にして頂いてる,ということになります」「これが木の内側ですね?」

「そうですね.はい.クスの特性でですね.中が,こういうふうに空洞になるというのが,クスの老木の特徴でして.蒲生のクスの場合は,樹齢1500年といわれておりますけれども,それだけの年数かかって,中がちょっとずつ腐食をして土に戻って,こういう,大きな空洞ができてるということになります」

 

日本一の巨樹の内部は,8畳ほどの空間が広がっていた.

まるで,洞窟のようだ.

 

「狭いですので」「これ,何ですか?」「これ,根っこですね」「根っこ!」「クスは,いろんな所から根っこが出ておりまして,そういう根っこを,なるべく土の方へ引っ張ってきてですね,クスがなるべくいろんな所から栄養がとれるようにということで,今,措置をしております.

それでは,上の方に登ってみたいと思います」

 

木は,幹が空洞でも生きる.

根から吸収した水分や養分を表面の皮を通して吸い上げるからだ.

 

「3段目にのぼります」「なんか,でもこれ,彫刻みたいですよね」

「そうですね.はい」「これ,自然な---,なんか手を加えたりはしてないんですね?」

「加えてはいないですね.でも,上を見て頂くとですね.うっすら,外の光も見ることができるかと思うんですけれど.

ですから,この空洞は実際,外まで,空洞としてつながってる,ということになります」

 

空洞のてっぺんを目指し,更に登る.

確かに,外につながっていた.

大クスの空洞の最上部は,地上16.5m.ビル4階分の高さまで達していた.

 

日本一の巨樹の幹は,ほぼ全身が,別の植物で覆われていた.

カタヒバやヒトツバなど,シダ類を中心に,20種類ほどの植物が隙間もないほど生えている.

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http://www.kamou80000.com/okusu.html

しかし,中には悪影響を与えるものもある. 

「このシダ類はですね.北側に多かったんですけど,こちら側は,ツタ類が巻き付いているような状態でして,それがクスの幹をギューッと縛りつけているような感じがあったものですから,そういうものは全て取り去ってですね,今ちょっと解放されてる状態かなというふうに思います.

このあたり,よ〜く見て頂くと,横にシマが入ってるの,おわかりになりますかね?ここら辺りにも溝が,細ーい溝が横に入ってますけど,やっぱり,かなり強い力で長期間ですね,(ツタか)ついてたということで,その間にも,クス自体も成長しますので,どうしてもめり込むような形になってしまうということですね.で,こういう溝として,今,残ってるということになります」

 

巨樹は,様々な植物たちを受け入れ,生きてきた.枝の間にできたくぼみのような場所に,鳥や風が種を運んできた植物が,生き生きと育っている.

巨樹は命のゆりかごだ.

 

1500年生きてきた見事な枝ぶりが,境内に映える.

しかし,この美しさは,何度も自然災害の猛威にさらされた.

1985年,台風13号が直撃.100本近い木が倒れ,社殿は崩れた.大クスも葉がほとんど落ち,大きな枝も折れてしまった.

かつてない危機だった.

その直後,役場の呼びかけで,地元の人々がむしろを持ち寄り,手当てをした.

 

今年も台風が大楠を襲った.

巨樹は動けない.強風を受け止め,嵐が去るのを待つ.

 

日本一の巨樹,蒲生の大クスは,空に向かってそびえ立つ.

1500年前から,今日まで変わらずに.

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https://urakago.com/tourism/aira/kamou-okusu