“レーベンスボルン”(生命の泉) 私が全く知らなかったこのおぞましいナチスの施設.BS世界のドキュメンタリー「ヒトラーの子供たち」(Gedeon フランス 2017年)は,フランスの “レーベンスボルン”で生まれた二人の人物の生い立ちを通して,レーベンスボルンの全貌に近づいていく好番組.

ヒトラーの子供たち」(Gedeon フランス 2017年)を視聴しました.

NHKBS13/06(木)放映のものを録画.

f:id:yachikusakusaki:20181223173859j:plain

NHKドキュメンタリー - BS世界のドキュメンタリー「ヒトラーの子どもたち」

 

私が全く知らなかったこのおぞましいナチの施設“レーベンスボルン”(生命の泉)についてのドキュメンタリー番組です.

レーベンスボルン”(生命の泉)は,「世界を支配する“優秀な”人種」「純粋な支配者民族」をつくるための拠点とナチスが考えた保育施設.

 

ドイツ国内に10カ所.

オーストリアには3,ノルウェー9,デンマーク2,ベルギー1,オランダ1,ルクセンブルグ1.

そして,フランスにも一カ所つくられました. Lebensborn - Wikipedia

このフランスの施設は,長らくどこにつくられていたのか不明でした.

この番組は,このフランスの “レーベンスボルン”で生まれた二人の人物の生い立ちを通して,レーベンスボルンの全貌に近づいていく構成となっています.

 

レーベンスボルンは,存在は知られていても,戦後すぐのニュルンベルグ裁判では,その実情が明らかにされることはありませんでした.

番組を通して,真相解明に携わった三名,

すなわち,

施設責任者の罪を戦後30年にしてはじめて明らかにするきっかけを作ったクラリッサ・ヘンリー(作家),

その40年後に真相究明に乗り出したボリス・ティオレイ(ジャーナリスト),

この施設で生まれたアーウィン・グリンスキー,

の証言が綴られています.

当時の画像・映像をバックに,ヨハン・シュプトー(歴史学者 ソルボンヌ大学教授)の解説も加えて,レーベンスボルン”(生命の泉)の実情をわかりやすく提供.一時間の番組ですから,とても全貌とまではいえないと思いますが.

 

内容のまとめを明日・明後日のブログに掲載できたらと思っていますが,再放送の機会があれば,ぜひ見て頂けたらと思います.

 

今日の所は日本語版・英語版のウィキペディアレーベンスボルンの解説を一部掲載して終わります.

 

レーベンスボルンとはウィキペディアより)

 「レーベンスボルン」については,日本語版ウィキペディアにもかなりしっかりした記事が掲載されています.しかし,この番組を見れば分かるとおり,レーベンスボルンは,下記引用した記事中にあるような,「女性福祉施設」では,決してありません.「女性福祉施設」は,ナチスが定めた表向きの役割で,施設の責任者が,戦後裁判で罪を逃れるために用いた隠れ蓑にもなりました.また,「収容所」という言葉もあたらないように思います.

 英語版ウィキペディアには,より詳細な解説があります.例えば,引用した冒頭の要約部にある「ナチスの民族的衛生学基準」「ナチスの健康思想」ということばは,私たち日本人がなかなか思い至らない“民族”“健康”の問題点を考えさせる言葉ではないかと思わされます.しかし,英語版の短い引用部分では.やはり,この施設がどれほど「おぞましい」施設かは,うかがい知れません.

例えば,“主に未婚の母に福利を与え,出産施設での匿名の出産を奨励し” とありますが,その父親は,例えば,ナチス親衛隊隊員!“未婚の母”になったのは,当該施設内で,引き合わされた結果!

産まれてきた子供は,生後たった1ヶ月で親衛隊に宣誓し,正式な一員となり,「世界を支配する“優秀な”人種」「純粋な支配者民族」の中核を担うと期待されていました.

f:id:yachikusakusaki:20181226154131j:plain

Lebensborn, The Nazi Breeding Program To Create A Master Race

 

以上は,ぜひ,この番組を見て頂きたい所以です.

 

日本語版ウィキペディア

レーベンスボルン - Wikipedia

レーベンスボルン(ドイツ語: Lebensborn)は,ナチ親衛隊(SS)がドイツ民族の人口増加と「純血性」の確保を目的として設立した女性福祉施設

一般的に「生命の泉」または「生命の泉協会」と翻訳されることが多い.

ユダヤ人絶滅のために強制収容所と対照をなす,アーリア人増殖のための収容所である.未婚女性がアーリア人の子を出産することを支援し、養子仲介なども行なっていた.

 

英語版ウィキペディア(拙訳):

Lebensborn - Wikipedia

レーベンスボルン(Lebensborn e.V. ;e.V.は登録組織を意味する.生命の泉)は,ナチス親衛隊SSが創設し,国家が支援したナチスドイツの“registered association登録団体”.

目標は“(ナチスの民族的衛生学基準のもとで)民族的に純粋”で,“(ナチスの健康思想に基づいて)健康”と分類された“アーリア人”の子供の出生率を高めることであった.

レーベンスボルンは,主に未婚の母に福利を与え,出産施設での匿名の出産を奨励し,同じく“民族的に純粋で健康”な里親,とりわけ親衛隊SSメンバーとその家族による養子縁組を仲介していた.

大部分の(?誤訳?)アーリア人の子供を産んだ女性には“The Cross of Honour of the German Mother”(ナチスによる勲章の一つ)が授けられ,障害をもつ子供の堕胎は,ナチスによって合法化されていた.

 

Lebensborn e.V. (literally: "Fount of Life") was an SS-initiated, state-supported, registered association in Nazi Germany with the goal of raising the birth rate of "Aryan" children of persons classified as "racially pure and healthy" based on Nazi racial hygiene and health ideology.

Lebensborn provided welfare to its mostly unmarried mothers, encouraged anonymous births by unmarried women at their maternity homes, and mediated adoption of these children by likewise "racially pure and healthy" parents, particularly SS members and their families.

The Cross of Honour of the German Mother was given to the women who bore the most Aryan children. Abortion was legalised by the Nazis for disabled children.https://en.wikipedia.org/wiki/Lebensborn

Lebensborn - Wikipedia

 

“レーベンスボルン(生命の泉)”1  BS世界のドキュメンタリー「ヒトラーの子供たち」は, “レーベンスボルン”で生まれた二人の人物の生い立ちを通して,レーベンスボルンの全貌に近づいていく好番組. - yachikusakusaki's blog

“レーベンスボルン”2 NHKBS「ヒトラーの子供たち」より(1)イングリット・デフォー   yachikusakusaki's blog

“レーベンスボルン”3 NHKBS「ヒトラーの子供たち」より(2)ー1 アーウィン・グリンスキー 1  yachikusakusaki's blog

“レーベンスボルン”4 NHKBS「ヒトラーの子供たち」より(2)ー2  アーウィン・グリンスキー 2  yachikusakusaki's blog

“レーベンスボルン”5 NHKBS「ヒトラーの子供たち」より(2)ー3  アーウィン・グリンスキー 3  yachikusakusaki's blog

“レーベンスボルン”6 NHKBS「ヒトラーの子供たち」より(2)ー4 アーウィン・グリンスキー 4  yachikusakusaki's blog

レーベンスボルン7 NHKBS1「ヒトラーの子供たち」より(3)-1 総集編−1  yachikusakusaki's blog

レーベンスボルン8  NHKBS1「ヒトラーの子供たち」より(3)-2 総集編−2   yachikusakusaki's blog