じゃがいも基本情報3
栄養
「じゃがいもは,消費量の観点からは,米・麦に次いで,世界で3番目に重要な作物」と言われています.
Potato Facts and Figures - International Potato Center
世界レベルで見たときに,エネルギー源としてなくてはならない作物,じゃがいも.
米,麦,トウモロコシの製品と栄養面で比較してみましょう.
水分の含量が違いますから,単純な比較は難しい点がありますが---
上の表では,“とうもろこし/玄穀” を除いて,麦・米・とうもろこし・いも類3種類から,そのまま食べられる形の食品を選んで,並べてみました.
ごはん(上表では“めし”)と比較して,同じエネルギーを得るためにはじゃがいもは2倍食べる必要があるとはいえ,エネルギー源として穀類を十分代替できる食品といえます.
また,穀類にはない,ビタミンCを含んでいることは,よく知られており,
「冬場に野菜類が不足した時代/している地域,では,ビタミンC供給源として機能していた/いる」と考えられています.
穀類にはないという点では,カリウムも注目しておくべきでしょう.食物繊維も,穀類に比べれば多いことが分かります.
一方,穀類にはたんぱく質がかなりの量含まれています.このたんぱく質含有量の点では,じゃがいもは小麦製品と比べると劣っていますが,米と同等かそれ以上といえます(一定エネルギーあたりのたんぱく質量の比較).
なお,ほぼ全ての点で,サツマイモの栄養がじゃがいもとほぼ同等かそれ以上であることは,知っておいてもいいでしょう(ただし,一定エネルギー当たりのたんぱく質量では劣っている).
温暖な地方ではサツマイモを穀物代替エネルギー源とするのが良いとも言えそうです.
毒性成分
じゃがいもの毒性成分については,以前トマトの毒性と合わせて,このブログで取り上げました.
yachikusakusaki.hatenablog.com以下,一部重複しますが----
ジャガイモの芽(芽とその芽の根元)や、皮(特に光が当たって緑色になった部分)は,ソラニン,チャコニンという毒性成分(いずれも“グリコアルカロイド”と呼ばれる化学物質)が含まれていることはよく知られており,取り過ぎると食中毒を起こす可能性があります.
http://www.healthyliving.gr/wp-content/uploads/2018/01/Glycoalkaloids-in-Potatoes-a-Review.pdf
典型的な中毒症状は,食後数時間後に発症し,腹痛,胃腸障害,虚脱,めまい,ねむけ,軽度の意識障害.
体重が50 kgの人の場合,ソラニンやチャコニンを50 mg(0.05 g)摂取すると症状が出る可能性があり,150 mg~300 mg(0.15 g~0.3 g)摂取すると死ぬ可能性があります.
参考文献
食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報:農林水産省
食品健康影響評価関係 | 食品安全委員会 - 食の安全、を科学する
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082078.html
学校での集団食中毒も多く,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082078.html
最近では,2014年(平成26年),福井の小学校の事例が報告されています.
“小学校で発生したジャガイモによるソラニン類食中毒事例”
福井県衛生環境研究センター年報 第13巻(2014)http://www.erc.pref.fukui.jp/center/publish/report/2014/3-3-4.pdf
によれば,
とあります.
検出された量は,ソラニンが112mg/kg、α-チャコニンが244mg/kg.
合わせて300mg/kg 以上ですから,上記の表では,「苦みあり」としてある塊茎のグリコアルカロイド量と一致.
変色した表皮か芽を食べてしまったんですね.
中毒を避けるには
「じゃがいもの芽や緑色の表皮を食べない」に尽きます.
購入・保存・調理の際の注意は以下のサイトに詳しくまとめられていますので参照して下さい.