「ししとう」
油炒めが美味しい「ししとう」.
https://www.google.com/searchシシトウ レシピ
鮮やかな緑を活かした美しい一皿にも.
https://tosanote.ja-kochi.or.jp/pdf/No27.pdf
「ししとう」はご存じの通り,ししとうがらし(獅子唐辛子)の略.
トウガラシと聞けば,だれでも「辛さ」をイメージしますが,「ししとう」は,甘唐辛子とよばれる,辛み成分カプサイシンのないトウガラシの一つ.
https://tosanote.ja-kochi.or.jp/pdf/No27.pdf
甘唐辛子をとりあげた以前の記事
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/09/10/015201
yachikusakusaki.hatenablog.com
にほとんど重なりますが,「ししとう」を主役にして,短くまとめ直してみます.
「ししとう」の歴史
現在日本で見かける甘唐辛子の代表はピーマンと言っていいでしょう.しかし,ピーマンが入ってくる以前から,日本では甘唐辛子が栽培されていました.野菜の種、いまむかし11/トウガラシ、シシトウ、ピーマン、パプリカの話
伏見甘長(伏見甘長唐辛子)は17世紀後半には有名になっていたそうで,万願寺唐辛子はこの伏見甘長とアメリカ産甘唐辛子カリフォルニアワンダーの自然交配種(大正時代)と言われてます.野菜の種、いまむかし11/トウガラシ、シシトウ、ピーマン、パプリカの話
一方,明治時代のはじめに現在の京都市左京区田中でつくられていたという記録がある甘唐辛子が,田中とうがらし.
伏見甘長同様,京の伝統野菜として栽培されていますが,この田中とうがらしが,「ししとう」の元祖といわれています.
野菜の種、いまむかし11/トウガラシ、シシトウ、ピーマン、パプリカの話
この田中唐辛子は昭和初期から和歌山県に導入され,全国に産地が広がっていきました.
現在,「ししとう」を最も多く生産しているのは高知県ですが,高知県での栽培は「昭和13年に和歌山県から南国市前浜(市南部の海岸線沿い。当時の前浜村)へ移住した人たちによって始まった」とのことです.
産地紹介:鳥取県 JA鳥取西部-月報 野菜情報-産地紹介-2016年10月
ししとうの品種と“エコシステム栽培”
現在,全国的に栽培されている「ししとう」は,「葵ししとう」という品種.
高知県ではこれに加えて,「土佐じしビューティー」「土佐じしスリム」など独自の品種が開発されているそうです.実が肉厚で食味が良く,トバモウイルスに強い抵抗性を持つ品種とのこと.
そして,高知県では,「害虫に対して農薬をできるだけ使用せず、天敵を利用するエコシステム栽培(総合的病害虫管理(IPM)の一種)という技術の導入を進めている」とのこと.
アザミウマ類に対する天敵:タイリクヒメハナカメムシ・タバコカスミカメ
アブラムシ類にはコレマンアブラバチやヒメカメノコテントウ
等が利用されているそうです.
産地紹介:鳥取県 JA鳥取西部-月報 野菜情報-産地紹介-2016年10月
「ししとう」は,甘唐辛子ですが,ピーマンと違って,時々辛みを持ったものが混ざることでも知られています.
ストレスなどがかかったときに辛み成分ができるようです.高知県のサイトでも,次のような記述が.
https://tosanote.ja-kochi.or.jp/pdf/No27.pdf
“消費者のニーズは、辛くない「ししとう」.しかし一方では辛味も人気.時々辛い実が混じる「ししとう」,実はユニークな野菜なんです.普通はピーマンのように辛くない実ばかりになるか、唐辛子のように全部が辛くなりますから.”
このようにピーマンとは違う歴史,姿,性質を持っているにもかかわらず,学名はピーマンと同じ.
ナス目 Solanales
ナス科 Solanaceae
トウガラシ属 Capsicum
トウガラシ C. annuum
ピーマン・ししとう・パプリカ等栽培品種 C. annuum var. 'grossum'
植物としての「ししとう」「ピーマン」「パプリカ」は,学名からも分かるように,種としてはトウガラシそのもの.
また,トウガラシ属は,ナス科の中ではホオズキ属やナス属(トマト・ジャガイモ・ナスなど)と近縁.
https://depts.washington.edu/phylo/OlmsteadPubs/Solanaceae_IV.pdf