アジサイ科の花たち(2) 和名アジサイ,種名Hydrangea macrophyllaの語源は? 漢字『紫陽花』について再掲.日陰を好むのに陽の花? そして,ヤマアジサイ(mountain hydrangea,tea of heaven)は,ガクアジサイと同じ種で決着!?

初夏を彩る花,アジサイ(テマリ型:原種はガクアジサイ))/ガクアジサイ

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アジサイ - Wikipedia

 

昨日 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/05/21/005104

に続いてこの話題で.ただし,やや地味な内容です.

 

アジサイの語源については以前に取り上げましたが,

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/05/14/000751

yachikusakusaki.hatenablog.com

改めて

アジサイの『語源』等について

和名『あじさい』

ウィキペディアでは,[山本武臣 『アジサイの話』 八坂書房を主な出典として以下のような記述が:

アジサイ - Wikipedia

アジサイの語源ははっきりしないが,最古の和歌集『万葉集』では「味狭藍」「安治佐為」,平安時代の辞典『和名類聚抄』では「阿豆佐為」の字をあてて書かれている.

もっとも有力とされているのは,「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」がなまったものとする説である.

そのほか,「味」は評価を,「狭藍」は花の色を示すという谷川士清の説、「集まって咲くもの」とする山本章夫の説,「厚咲き」が転じたものであるという貝原益軒の説がある.

 

日本国語辞典でも,上記の「最も有力な説」を取り上げて,次のように説明しています.

あじ(あぢ)」は「あつ」で集まること,「さい」は真藍(さあい)の約で,青い花がかたまって咲く様子から名付けられたと思われる.

 

種名『Hydrangea macrophylla』 

Hydrangea=hydro(water 水)+ angein(vessel容器, capule カプセル) 種のさやの形とのことですhydrangea | Origin and meaning of hydrangea by Online Etymology Dictionary

しかし,アジサイの種って?

 

macrophylla:「大きな葉っぱをもっている The term macrophylla means large- or long-leaved」Hydrangea macrophylla - Wikipedia

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Hydrangea macrophylla - Wikipedia

 

漢字『紫陽花』

「紫陽花」について次の引用は3回目.少々気が引けますが---

「“紫陽花”は中国の詩人,白居易(白楽天)の造語で,寺に栽培されている香ばしい花の名を誰も知らないので,紫陽花と名づけたと述べられています.

楽天の紫陽花を日本のアジサイにあてたのは源順のようです.彼の編んだ平安時代中期の『倭名類聚抄』に初めて出ています. 考えてみればアジサイは日陰を好み,どちらかというと陰の花で,陽の花とはいいにくいものです.私は白楽天の紫陽花はライラックではないかと思います.ライラックは中国が原産なのです」植物の漢字表記    湯浅浩史   俳句で植物名を表すのは

 

 

現在私が最も好んでいる花の一つ

ヤマアジサイについて

1.

英語でもそのまま,“mountain hydrangea ”.

そして,もう1つの英語名が “ tea of heaven”.

Hydrangea serrata - Wikipedia  http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~tsuyu/top/plt/saxifrage/hydrangea/ser.html

後者は「天国のお茶」「天上のお茶」と訳していいのでしょうか.

きれいな名前です.

なぜこのように呼ばれるようになったかについては,調べきれませんでしたが,この事について幾つかのサイトが取り上げていました.

例えば http://non-wolf-moon.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/tea-of-heaven.html

 

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2.

ヤマアジサイガクアジサイと同じ種か,異なる種なのか?

この問題については,長い間決着がつけられないままだったようです.

 

wikispecies Hydrangea macrophylla subsp. serrata - Wikispecies では

ガクアジサイの変種を意味する

Hydrangea macrophylla subsp. serrata」をメインの名前として採用.

命名者は日本の牧野富太郎博士のようです.文献名として次のように記載していました.

  Makino, J. Jap. Bot. 6(7): 11. 1929.

そして,同じ意味を持つ種名として

Hydrangea serrata 」が記されています.

 

北大のサイト http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~tsuyu/top/plt/saxifrage/hydrangea/ser.html

では

Hydrangea serrata 」をメインの名前として採用し,

変種としてたくさんの名前が

Hydrangea serrata 

 var. acuminata (Siebold et Zucc.) Nakai (サワアジサイ)

 var. angustata (Franch. et Sav.) H. Ohba (アマギアマチャ)

 var. australis T. Yamaz. (ナンゴクヤマアジサイ)

 var. japonica (Siebold) H. Ohba et S. Akiyama (ベニガク)

 var. minamitanii H. Ohba (ヒュウガアジサイ)

 var. serrata (ヤマアジサイ, 山紫陽花) 等々

 

そして,

米国農務省の研究結果のサイトにhttps://www.ars.usda.gov/research/publications/publication/?seqNo115=199411に,次の記事が.

H. macrophylla subsp. serrataで決着がついた!?

 

要旨(拙訳&原文)は次の通り.

 ヤマアジサイの科学名について,「H. macrophylla subsp. serrata」「H. serrata」のどちらがが正しいのかについて,企業や科学者の間で混乱があります.

この問題を検討するため,この研究では,形態学的なデータ,分子系統学的なデータ,交配実験のデータを用いました.

形態学的なデータは,“serrata ”を,種のレベルに押し上げることを,(しようと思えば)支持しうるものでした.しかし,分子系統学的なデータや交配実験のデータは, macrophylla と serrata  を別々の種とすることを支持していません.

私たちは,品種改良の視点から,より妥当であるため, H. macrophylla subsp. serrataの名称を用いることを推奨します.

Title: HYDRANGEA MACROPHYLLA AND SERRATA - SHOULD WE LUMP 'EM OR SPLIT 'EM?

Author Reed, Sandra, Rinehart, Timothy - Tim

https://www.ars.usda.gov/research/publications/publication/?seqNo115=199411

There is confusion among the industry and scientists as to whether H. macrophylla subsp. serrata or H. serrata is the correct scientific name for the mountain hydrangea. This study used morphological, molecular and hybridization data to address this issue. While morphological data could support elevating the serrata form to species level, molecular and hybridization data do not support separating macrophylla and serrata into separate species. We recommend use of the H. macrophylla subsp. serrata designation as it is more appropriate from a breeding perspective.