養父母と仲が悪く,荒れた生活を送った.十九歳ごろ,家に来た警察官に突然手錠を掛けられ,そのまま精神科病院に連れて行かれた.反抗すると,頭に電気を流され,鉄格子付きの「独居房」に入れられた. 医師の診断はなく,看護師に「精神分裂病」と言われただけだった. 9歳被害を知り決断 旧優生保護法下強制不妊 一斉提訴 東京新聞 2018年5月17日 夕刊

「突然手錠,診断もなく」 9歳被害を知り決断 

強制不妊 一斉提訴

 

東京新聞 2018年5月17日 夕刊

 

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制された札幌,東京,宮城の70代の男女3人が国に損害賠償を求める一斉提訴.札幌市北区の小島喜久夫さん(76)は「悪いのは自分たちではなく国だ」.被害者の中で異例の実名を公表する対応で,一貫して謝罪や補償に応じようとしない国の責任を訴えた.

 

 小島さんは十七日,提訴後に札幌市内で開いた記者会見で「自分もつらい思いをしてきて,誰にも言えないことを吐き出した.同じ思いをしている人は出てきてほしい」と語った.

 妻麗子さん(75)と並んで記者会見に出席した小島さんは「妻が反対していたら私は言い出せなかった.自分のことを言うのは嫌だったが,妻が支えてくれた」と感謝した.

 

 小島さんは一九四一年生まれ.証言によると,生後間もなく,北海道石狩市の農家に引き取られたが,養父母と仲が悪く,荒れた生活を送った.十九歳ごろ,家に来た警察官に突然手錠を掛けられ,そのまま精神科病院に連れて行かれた.反抗すると,頭に電気を流され,鉄格子付きの「独居房」に入れられた.

 医師の診断はなく,看護師に「精神分裂病」と言われただけだった.別の男性が「子どもができなくされた」と話し,一日数人が手術室に呼ばれていた.自分が精管切除手術を受ける時は,抵抗する気力を失っていた. 

 麻酔は効かず,腹部に激しい痛みが三日間続き,その後,スリッパとジャージー姿で病院を逃げ出した.

 

 タクシー運転手になり,妻の麗子さんと八〇年に結婚.麗子さんには子どもができない理由を「おたふくかぜのせい」とごまかした.

 今年一月,初めての提訴を新聞で知り,麗子さんに告白するか悩んだが,数日後,九歳女児の被害者までいたのを知って心が動き,事実を打ち明けた.

 

 その後,弁護士に相談して提訴を決意.中傷を受け公表を悩んだこともあるが「悪いのは自分たちではなく国だ」と訴える.

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東京新聞:強制不妊 国を提訴 東京・宮城・札幌の70代男女:政治(TOKYO Web)

 

強制不妊、賠償求め3人一斉提訴 「違憲、救済措置講じず」

東京新聞 TOKYO WEB 2018年5月17日 11時57分

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東京新聞:強制不妊、賠償求め3人一斉提訴 「違憲、救済措置講じず」:社会(TOKYO Web)

 

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害などを理由に不妊手術を強制されたとする北海道、宮城県、東京都の70代の男女3人が17日、国に損害賠償を求める訴訟を札幌、仙台、東京の各地裁に起こした。自己決定権などを定めた憲法に違反、96年の法改定後も救済措置を怠ったとしている。請求額は計7950万円。1月に提訴した宮城県の60代女性を含め原告は4人に拡大。謝罪・補償に応じない国の姿勢を厳しく追及する。

 

 旧法を巡っては、国会議員の間に、訴訟の結果にこだわらずに不妊手術に対する謝罪・補償の在り方を探る動きもあり、4月に初の全国調査に乗り出した政府の対応が注目される。

(共同)

 

 <旧優生保護法> ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法が前身で,1948年から96年まで存在した.3条は本人や配偶者,親族が遺伝性とされた身体疾患などの場合,本人や配偶者の同意を得て不妊手術を行うと規定.4条と12条は,本人に知的障害や精神疾患などがある場合,手術が必要と判断した医師が都道府県の優生保護審査会へ申請し,「適」とされれば本人同意のない強制手術を認めていた.不妊手術を施された障害者らは約2万5000人で,うち強制されたのは約1万6500人に上る.一方,本人および配偶者に精神疾患などがある場合,人工妊娠中絶も認めていた.

東京新聞:強制不妊 国を提訴 東京・宮城・札幌の70代男女:政治(TOKYO Web)

 

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