愛の神エロース /キューピッド1 原初神 (神々の系譜の中で最も古い位置にいる神)としては,初めの四人に含まれているとされたり---.なんと,ニュクス(夜)が置いた卵から生まれた優美な神にして,「エロースが世界の要素をまとめてはじめて,他の神々が存在するようになった!」と位置づける話も.

エロース(Eros)

性と愛をつかさどる神エロース - Wikipedia 

 

同じ意味ですが,様々な言い方があります.

「God of Love」=「愛の神」

「God of sexual desire and attraction」=「性的な欲求 / 性的な牽引力をつかさどる神」.Eros - Wikipedia

 

ローマ神話ではアモール,またはクピドー(Cupido).

そして,英語読みのキューピッドを知らない人はほとんどいないでしょう.

 

エロースは,クピドー/キューピッドとよばれるようになる後世には,子どもの姿で描かれることが多くなりますが-----

 

青年の姿で描かれていたことも広く知られています.

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プリマヴェーラ - Wikipedia Eros - Wikipedia

また,

 愛と美の神アプロディーテーと軍神アレースの間の子供で,多くの愛の物語を生み出すきっかけを,その弓矢でつくった神とされていますが-----

 

宇宙の創造に関わった“原初神 primordial gods ”(神々の系譜の中で最も古い位置にいる神)としても知られています.Eros - Wikipedia」

 

とても混乱してしまいますが,

ギリシャ神話(ギリシャローマ神話)は,多くの詩人/作家が書き記したものであり,エロースは,幾人もの詩人それぞれが創り出した神(Eros is the creature of the later Greek poets EROS - Greek Primordial God of Procreation ).

これを理解すれば,エロースが様々な姿を持つことにも納得できます.

 

 

初神としてのエロース

どのサイトを見ても,エロースが原初神であったとの記述はありますが,その位置づけは,様々なようです.

以下に代表的と思われる二つの位置づけを.

ヘロドトス(c. 700 BC)

愛の神エロースは,この世に現れた4番目の神.

カオス(からの空間:混沌)の生成に続いてガイア(大地)が生まれ,次に暗冥の地下の奥底であるタルタロスが生まれた.また,いとも美しきエロース(原愛)が生まれた.

カオス - Wikipedia Eros - Wikipedia EROS - Greek Primordial God of Procreation

 この記述では,カオスの子どもであるかのように思えますが,親子とはされていません.

 

 また,エロースはガイアの子どもであるような記載が幾つか見られます.

イア - Wikipedia 山室静 ギリシャ神話

カオスから最初に生まれたのがガイアだった.

ガイアの広い胸が,あらゆる神々の住所になり,愛の神エロース,暗黒の神エレボス,天の神ウーラノス,海の神ポントスなどが生まれた.山室静 ギリシャ神話

 

 しかし,ファミリーツリーを記載した幾つかのサイトを探し出したところ,ガイアの子として記載してある系譜は見つかりませんでした.

Family tree of the Greek gods - Wikipedia Moments in Greek Mythology: Moments In Greek Mythology- The Theogony (Primordial gods, Titans, and Hundred Handers of my!) ギリシア神話の神々の系譜 - Wikipedia

 

アリストパネスアリストファネス C5th to 4th B.C.) 

EROS - Greek Primordial God of Procreation

上記サイトの英文を途中まで訳してみます.自信は全くありません!

 

始めには,カオス(大きく開いた割れ目,空,混沌),ニュクス(夜),エレボス(暗闇,幽冥),タルタロス(穴,奈落)しかなかった.

ガイア(大地),Aer(Air),ウーラノス(天界,天空)は存在していなかった.

初めに黒い翼を持ったニュクス(夜)が,エレボス(暗闇)の無限に続く深見の胸に汚れない(?)卵を置いた.

移り変わる長い年月の後,優美なエロースが生まれ出てきた.光り輝く金の翼をもち,嵐のつむじ風のように素早く動き回った.

"At the beginning there was only Khaos (Chaos, the Chasm) [Air], Nyx (Night), dark Erebos (Erebus, Darkness), and deep Tartaros (the Pit). Ge (Gaea, Earth), Aer (Air) [meaning Aither, the upper air] and Ouranos (Uranus, Heaven) had no existence. Firstly, black-winged Nyx (Night) laid a germless egg in the bosom of the infinite deeps of Erebos (Darkness), and from this, after the revolution of long ages, sprang the graceful Eros [the primordial Eros] with his glittering golden wings, swift as the whirlwinds of the tempest.  ”

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 EROS - Greek Primordial God of Procreation

エロースが全ての始まりとする話!

このあと,英語がよく分からない部分が続いていたのですが,

「エロースが世界の要素をまとめてはじめて,他の神々が存在するようになった」

ということのようです.

That of the Immortals did not exist until Eros had brought together all the ingredients of the world, and from their marriage Ouranos (Uranus, Heaven), Okeanos (Oceanus, the World-Stream), Ge (Gaea, Earth) and the imperishable race of blessed gods (theoi) sprang into being.

 

山室静 ギリシャ神話」には次のような訳詩が.

 

 “----黒い翼のニックスが,

 黒く深いエレボス(暗闇)の胸の中に

 風をはらんだ卵を産んだ.季節がめぐって

 待たれたエロスが生まれ出た.金の翼をかがやかして”(アリストパネス

 

また,

トマス・ブルフィンチ ギリシアローマ神話(角川文庫)によれば,

〜このとき,

「エロースが手にしていた矢と松明とで,全てのものを指したり生気を与えたりして,生命と歓喜を生み出した」

ということです.

 

エロースがこの世の始まり.何とも楽しい話ではありませんか.

 

 

主な原初神 まとめ

カオス(からの空間,大きく開いた割れ目:混沌)

ガイア(大地)

エロース(原愛,性愛)

ニュクス(夜)

エレボス(暗闇,幽冥)

タルタロス(穴,奈落)

ウーラノス(天界,天空)

ウーレアー(山)

ポントス(海)

 

神々の系譜 

 

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