相模原事件について障害者入所施設より
稲葉進(いなばすすむ)
奈良県,中川園入園者.六四歳.硬直が非常に強い脳性マヒ.言語での意思疎通は,聞く側が慣れる必要がある.パソコンは足の指で操作している
福祉労働153
(本項は療養施設自治会ネットワーク八月[2016年]定例会議に提出したものに,加筆修正したものです)
福祉労働 障害者・保育・教育の総合誌 153(2016〜2017Winter) 特集相模原・障害者施設殺傷事件の通販/福祉労働編集委員会 - 紙の本:honto本の通販ストア
僕も殺される対象となっていたかも
この事件を最初に聞いたときは驚きだった.
犯人は障害者にすごく偏見をもった男だと思ったけれど,なぜ,殺したのか.犯人の言っていることを聞いたら,意識がないような人は殺したいと思ったという.意識がないように見えても,痛みはわかる.
僕だって言葉は伝えにくい.相手の人にわかってもらえるかは,わからない.だから,僕も対象になっていたかもしれないと思った.
職員の資格?余裕のなさ
今日もペットボトルを部屋の入り口に置いていたら,職員に「仕事を増やされる」と言われた.職員が思ったことをすぐに言葉に出す.やはり人材不足で余裕がない.
事件について施設の中では話しにならない.僕から「どのように思うか」と職員に聞いてみても,返事はない.隠しているみたいに感じる.
あの施設とここも,施設としては同じやと思う.施設内で不祥事もある.そのような人が資格を持ってくる.入所者も疑ってしまう.
入所施設は最低限の暮らしはできるけれど,衣食住ができるところだろうか.
優生主義って
今回のことが優生思想と言われるけれど,障害者が人の役に立たないから殺すというのは,どうなのでしょう.僕は役に立っていると思う.殺すなんて言われたら困る.
せっかく生きてきた,命が終わるまで生きてみたいと僕は思う.知的障害者もそうでしょう.
人が人の命を終わらせるのはおかしいのではないでしょうか.命を奪ったらあかんと思う.
苦労と不幸は違う
確かに障害者の親の負担は大きいと思う.親の苦労を見てきたから,どう考えるかは難しい.でも苦労と不幸とは違う.生まれることは最後は親が決めるしかない.どうでしょうか.
(以下続く 予定)