「次は,去年7月に相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件についてです」
首都圏ネットワーク - NHK 3月13日
世話好きで洗濯物をたたむのが得意だった女性.
ラジオが大好きだった肌身離さず持っていた男性.
私たちは亡くなった方々がどのように生きてきたのか特設サイト『19のいのち』で好きだったものや姿をイラストにしてお伝えしています」
「今回亡くなった2人のご家族が,新たに私たちの取材に答えて下さいました.
散歩の途中,道ばたの草や葉っぱを手に取り,クルクルと回しながら,見つめていたという55歳の女性」
「事件の犠牲になった1人です.今回,似顔絵でお伝えすることをご家族が了承して下さいました.穏やかな性格で,いつもにこにこしていたという女性.その笑顔で周囲を和やかな気持ちにさせていたといいます」
「施設で女性を担当していた元職員の溝口知子さんです.けがれのない,女性の笑顔が忘れられないと言います」
溝口さん「ニコニコしているだけで癒やされる,みんな和やかな気分になっちゃう.ほんとにあの方なんかね,よく世間の垢に染まらずに,きれいなまんまでね,心がね,それはお母さんお父さんの努力だと思いますね」
「溝口さんは,かけがえのない人生が,突然断たれてしまったことに,やり場のない気持ちを抱いています」
溝口さん「目に見えない小さなことだって,その人にとっては喜びだったかもしれないしね.一人一人に自分の生活があって,その中で自分で持てる力を出して,楽しんで生きてきた人生を,こういうふうな形で終わらせたということはね,非常に残念,無念.それしかないですね」
「パンが大好きで,人気者だったという26歳の女性も,事件の犠牲になりました」
「母親が今回,娘の姿を自ら描いて私たちに寄せてくれました.在りし日の写真を見ながら,何度も書き直したと言います」
「女性は自閉症で言葉で伝えることは苦手でしたが,しぐさや行動で気持ちを伝えてくれたと言います.幼い頃は,階段を上がるのもやっとだったという女性.保育園や小学校に通う中で,多くの友達に囲まれ,マラソンにも参加できるようになったと言います」
「中学生の時に書き初めで『まま』と書いてから,習字の時間には『まま』『まま』と繰り返し書いていました.母親は,その写真を肌身離さず持ち歩いています」
「告別式には,友達など,多くの人が集まり,女性が好きだった曲を流して別れました」
『 (“チェリー” スピッツ:)二度と戻れない くすぐり合って転げた日---』
「歌詞と同じように娘と転げ合って遊んだ笑顔を思い出すという母親.曲を聴くたびに涙があふれると言います」
「母親は,似顔絵と共に,直筆のメッセージも寄せてくれました」
母親の手記「娘は一生懸命生きていました.被告に一番言いたいことは,ただただ『私の娘を帰して』ということだけです」
「特設サイト『19のいのち』には,これまでに,23万以上のアクセスがあり,およそ400件ものご意見が寄せられています.私たちは,これからも様々な声を伝えていきます」
チェリー
君を忘れない 曲がりくねった道を行く
産まれたての太陽と 夢を渡る黄色い砂
二度と戻れない くすぐり合って転げた日
きっと 想像した以上に 騒がしい未来が僕を待ってる
"愛してる"の響きだけで 強くなれる気がしたよ
ささやかな喜びを つぶれるほど抱きしめて
こぼれそうな思い 汚れた手で書き上げた
あの手紙はすぐにでも捨てて欲しいと言ったのに
少しだけ眠い 冷たい水でこじあけて
今 せかされるように 飛ばされるように 通り過ぎてく
"愛してる"の響きだけで 強くなれる気がしたよ
いつかまた この場所で 君とめぐり会いたい
どんなに歩いても たどりつけない 心の雪でぬれた頬
悪魔のふりして 切り裂いた歌を 春の風に舞う花びらに変えて
君を忘れない 曲がりくねった道を行く
きっと 想像した以上に 騒がしい未来が僕を待ってる
"愛してる"の響きだけで 強くなれる気がしたよ
ささやかな喜びを つぶれるほど抱きしめて
ズルしても真面目にも生きてゆける気がしたよ
いつかまた この場所で 君とめぐり会いたい