雲霧仁左衛門主演中井貴一さん時代劇を語る「そうですね.瞬きをしないっていうこともそうだし,瞬きを一回するっていうことを計算でするっていう」「着物を着て立ったときに時代劇をやっているかいないか,その時代の人間になれているかいないかっていうのが一番出るような気がするんですよ」 土曜スタジオパーク

NHKBS「雲霧仁左衛門3」が始まりました.中井貴一さんの演技にほれぼれ見入ってしまいました.今,最も男の色気を醸し出している俳優なのでは?

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雲霧仁左衛門3 | 2017年1月6日(金)スタート 毎週金曜日夜8時(連続8回)NHK BS時代劇

その中井貴一さんをゲストに招いた土曜スタジオパーク

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土曜スタジオパーク - NHK総合 毎週土曜 午後1時50分

「重厚な役柄からコメディーまで幅広い演技で知られる中井さんが精力的に取り組んでいるものの一つが時代劇。大河ドラマの主演を始め,35年にわたって数多くの時代劇に出演し続けてきました. BS時代劇「雲霧仁左衛門3」の撮影が行われている京都太秦の撮影所の取材も交えながら、中井さんに時代劇の魅力を熱く語っていただきます。中井貴一,【司会】ビビる大木,大沢あかね,中野淳,【語り】鈴木麻里子

トークの前半部分を採録します.中井貴一さんのトークを,楽しんで頂けたら---

 

「新年最初のゲスト,中井貴一さんです.どうぞ,ようこそいらっしゃいませ」

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「今,55歳で,後半に入っていかれる」「もう後半といっても過言ではないかと思いますが.だから,あんまり守りに入りたくないな.いつも思っているんですね.年をとったから守るんではなくて,年をとったから攻めていきたいなといつも思ってるんですね」

「さあ,中井さんが主役を務める,雲霧仁左衛門第三シリーズが始まりました.反響の方はいかがでしょうか」「わりと多くの友達から電話をもらいまして,やっぱり,時代劇時代が少なくなっているので,とても楽しみにしてくれている友達もいますし,なかなか取り方目線の時代劇って多いんですけど,泥棒目線の時代劇ってないもんですから,そういった意味ではとっても楽しんでもらっているみたいで,とても上々の評判でした」

「第三シリーズまでということですから,やっぱり,続いていく気合いは違いますか?」「そうですね,こういう話っていうのは,なるべく続けていく方がいいなってボクは思っているんですね.まーね.ほんとに時代劇全体が少なくなっているので,シリーズにできるものがあれば,きちっとつなげていって、まー京都で仕事ができるような,状態にもっていければいいと,僕は思っていますけれど.はい」

「今回から脚本がオリジナルになったんですよね」「そうですね,池波先生の原作だったのが,今回,原案ということになって,あのー原作からちょっと離れたところで,オリジナルで,すすんでいくことになりましたので.そういった意味では責任がより大きくなるっていうんですかね.重大になるかなって思っているんですけれど」

「新しい雲霧の世界が見られるという」「そうですね,そうなればいいと思っています」

 

改めてこの雲霧仁左衛門どんな物語なのか,こちらをご覧下さい.

大金持ちの金蔵しかねらわず,決して殺さず傷つけず,雲が湧くように現れ出で,霧のように消える凄腕揃いの子分達を統率する一味の頭は雲霧仁左衛門. 宿敵藤堂家への仇討ちを果たした雲霧仁左衛門

それから姿をくらまして一年.江戸では雲霧と名乗る盗賊が世間を騒がせていました.「お頭を騙りやがって」「そいつの正体を暴こうじゃねーか」

一方火付盗賊改方を解かれていた阿部式部(國村隼)にも雲霧捕縛の命が下ります.「これも定めか」「知恵比べといこか」

雲霧一党を襲う謎の集団.その背後には因縁の藤堂家の存在がありました.「必ず雲霧を切れ」

宿敵の野望を打ち砕くため雲霧一党が蘇ります.「吾等の使命は変わらぬ」「雲霧一党を捕らえるまで」「見ておれ雲霧仁左衛門」「雲霧一党いざ参る」それぞれの決意の元に三つどもえの戦いが今始まります.

「後悔させてやるんだ.ずんと思い知らせてやろう」

 

「中井さんが演じました雲霧仁左衛門.あまりしゃべらない役」「そうですね」

「言葉多くない.演じてまして言葉が少ない方が難しいですか?」「友達からは楽だろうって言われます.『セリフ覚えなくて良いじゃん』みたいなこと言われるんですけど,意外と大変なんですよ.少ない方が.表情で出してかなくちゃいけないので.まーある意味セリフって言うのは説明ですから.自分の行動の説明ですから.そういう意味ではセリフがないときどういう感情を顔に出せるかっていう方が,役者としての醍醐味はあるかなって思いますけど」

「眼力(めぢから)といいますか,瞬きとかからもすごいメッセージとか----.どの辺りか表情を具体的に」「そうですね.眼の動きって言うのはすごく大事で,実は人間って知らず知らず,映画に行ったりテレビを見ていても,出演者の意外と目を見ていることが多いですよね.だから,その眼に意識をするっていうことは,とても気をつけていることだと思います.はい」

「次本番だっていうとき,眼に集中っていう感覚あるんですか」「そうですね.瞬きをしないっていうこともそうだし,瞬きを一回するっていうことを計算でするっていう」

「パチパチパチってやっちゃうと違うんですね」「そうですね.だから自分の心情を眼で語っているときには,句読点で瞬きをするようにしているんですけど,自分の心の中のセリフを作っておいて,句読点で一回瞬きをして開けるっていう」

「印象づけが違いますよね」「雲霧ならではの技術というか心がけなんですか」「雲霧は特にセリフが多くないので,そういう場が非常に多いので考えることは多いですね」

「リーダとしての雰囲気というのも少ない中で出さなくてはいけませんものね.やっぱり」「最近のいろんなニュースを見ていて,トップが謝ったりするニュースが多いじゃないですか.でも基本的にリーダーっていうのは,部下にリーダーにしてもらってるんですよ.要するにピラミッドってリーダーだけが強いように思われるんだけど,部下がこの人をリーダーにしようと思うことが大事なんですよ.だからリーダーがいないっていうことは部下がいないっていうことなんだと僕は思っているんですよ.雲霧仁左衛門っていうのは,いい部下がそろっているから雲霧がすごく輝いて見えるっていうピラミッドの形態を,見てる方に理解して頂けたらいいなって思っているんですが」「リーダー像も見えてくるんですね」

雲霧仁左衛門での中井さんの演技を,共演者の方々はどのように見ているのか、聞いてきました.

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内山理名(七化けのお千代 公家から商人の女まで何にでも化けることができます.幼い頃火事で焼け出されて身を拾われて以来,仁左衛門のもとで働き,彼を慕っています.「願いが通じました.こうしてまたお目にかかれて---千代は嬉しゅうございます」)「千代と仁左衛門がお墓の前で久しぶりに二人で話すシーンがあるんですけれど,その時はただ立っているだけなんですけれど,美しさを感じます.やっぱり生き方だったりとかそういうものが多分,後ろ姿って,多分そういうところにでるんじゃないかと思います.言葉で表現,ほんとうに難しいんですけれど,私もいつか中井さんみたいな後ろ姿を出せるような人になりたいなって思います」

近藤芳正(三坪の伝次郎 雲霧一党の司令塔.誰の声でもまねできる)「中井さんは20代の頃から時代劇をやってらして,基礎ができてらっしゃるんで,ちょっとした体のこなしとか,着物の扱い方とか,小道具の扱い方とか,やっぱり他の役者にはない色気もありますし,それはスゴイですね」

「大絶賛ですね.共演者の皆様が」「違うんですよ.京都で撮影してて,土曜スタジオパークが取材に来てくれて,みんなああいうふうにコメントをとったんですよ.その日,撮りがあって,皆俺んとこ来て,『中井さん,あの,すみません』っていうから,『何で謝んだよ』っていったら,『インタビューされたんですけど,ディレクターの人がスゴイ詰めてくるんですよ.もっとないか,もっとないかみたいなこといわれて.あんまり思ってもないこと言っちゃったんで.傷ついたらちょっとすみません』って言われたんですよ.多分,あれ良いとこ使ってくれているけど,相当悪いとこもある」

「いやいやそんなことないですよ」「VTR見るのがスゴイ怖かったんですよ.はい.よかったって思って」

「何を話したかは聞いてなかったんですね」「聞いてないです.聞いてないです.皆謝りに来るんですよ」

「ただ立っているだけで美しいと内山さんもおっしゃってました」「ありがたい事だと思います.僕はでも時代劇で一番大事なことだと思ってるのはそこなんですよね.何でもそうだと思うんですけど.僕は学生時代はテニスをやっていたんですけど.お芝居でテニスのシーンなんてあると,ラケットを持とうとした瞬間にこの人テニスをやっているかやっていないか,分かるんですよ.多分サッカーをやってらっしゃった方は,ボールを持った瞬間にこの人サッカーをやってたかやってないか分かるんだと思うんですよね.時代劇ってそういう所があって,セリフを言うこととか,立ち回りをすることっていうよりも,着物を着て立ったときに時代劇をやっているかいないか,その時代の人間になれているかいないかっていうのが一番出るような気がするんですよ.ですからそこはとっても大事にしているところではあると思います」

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「立ち姿で注意する所ってどんなところですか」「やっぱり体幹だと思います.特に着物の場合は,そうだと思いますね.ただ背筋をピンとしていればいいわけではなくて,着物に慣れているか慣れていないかが大きいですし,軸をしっかりもって,特に時代劇の場合は,やった方がいい,立ち座りもそうですし」

「その話を近藤さんはおっしゃてたんでしょうね.色気もあると」「ちょっと褒めすぎですけど」

「やっぱりずーっとおもてになってきたんだろなっていう雰囲気でてるんですよ」「そんなことないですよ」「幼稚園からずーっと」「幼稚園って.そんなことないですよ」

「そういうものの色気を皆さんおっしゃっているんだと」「あの,あれですよ.僕の親父は俳優をやっていたんですけど.佐田啓治さんっていう方.二枚目の俳優さんで.でも僕が二歳半の時に亡くなったんですよ.自分はあまり父親のこと知らないじゃないですか.でも子どもの頃からお会いする年上の女性の方に,『わー,お父さん二枚目だったのにね』ってよく言われました」

「どういう意味なんでしょうね」「もてませんって」「父との落差みたいなものは,既に,当たり前のように.今でも言われますからね」「今もですか」「ですから,そういう意味ではもてるタイプではないと思います」「そーかなー」「ホントにそうだと思います」

「誰も納得しません,この話は」「意外なコンプレックスの話ですけれど」「だから,そういうのは気をつけた方が良いと思います.子どもながらに積み重ねていくものがあるので」

大東俊介さんが中井さんから『時代劇の基本の型をたたき込むように』とアドバイスされたということなんですけど,時代劇の基本の型,立ち姿の話はありましたけど,他にはどんな」

(以下続く 予定)