写すだけ万葉集

ノハカタカラクサとツユクサ  昨日,安国論寺でノハカタカラクサ(野博多唐草)に出会いました.今までは全く知らなかった花でしたが,今ではどこにでも生育しているようですね.ツユクサ科の外来植物で,ツユクサとは属が異なります.ツユクサもノハカタカラクサも繁殖力が強く,世界中に広がっているようです.月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言(こと)も告げ来ぬ 大伴坂上家之大娘 

昨日,安国論寺で出会った花をブログの終わりに載せさせてもらいましたが,その中の一種は,ノハカタカラクサ(野博多唐草). 今までは全く知らなかった花でしたが,今ではどこにでも生育しているようですね. 亀ヶ谷の切通でも群生しているのを見かけまし…

紫陽花を詠んだ歌  万葉集に既に歌に詠まれていたことはよく知られています.しかし,古歌には余り詠まれず,その傾向は近世まで続きます.よく取り上げられるようになつたのは近代になつてから. あじさいの八重咲く如く弥(や)つ代にいませわが背子見つつ偲はぬ  橘諸兄   まかがよふ光りのなかに紫陽花の玉のむらさきひややかに澄む 太田水穂   紫陽花のふふむ雨滴を揺りこぼす言はば言葉がすべてとならむ 河野裕子

日本で古来より生育し,また栽培されてきた紫陽花. アジサイの語源は,特定はできていませんが--- 「あじ(あぢ)」は「あつ」で集まること,「さい」は真藍(さあい)の約で青い花がかたまって咲く様子から名付けられたと思われる.(日本国語大辞典) と…

初夏の花ウツギ / 卯の花を詠んだ歌   万葉の時代から明治期に至るまで,日本の初夏の花の代表はウツギの花=卯の花だったようです.万葉集に二四も詠まれ,唱歌「夏は来ぬ」は明治から現代まで歌い継がれています.「ウツギの花が春から初夏への季節の変わり目に咲き、また白く目だつことから、暦の普及していなかったころに季節を知る重要な花であった」 五月雨もむかしに遠き山の庵通夜する人に卯の花生けぬ 与謝野晶子

初夏・五月 アジサイには早いものの,沢山の種類の花に出会うことができます. あくまでも私のイメージですが,サツキ,アヤメが古くから親しまれてきた典型的な5月の花.フジ,ハナミズキは桜が終わった4月の花ではないでしょうか. バラ園のバラも5月が見…

かきつばた(杜若・燕子花)1  実は,まだ間近にカキツバタを見たことがありません.今年こそはどこかで--とは思つていますが.「アヤメ属のなかではもっとも古くから栽培された」「日本原産」とされるカキツバタ.アヤメ(花あやめ)と異なつて,万葉集,古今集でも詠われています.杜若衣(きぬ)に摺りつけますらをの着そひ猟(かり)する月はきにけり 大伴家持  か: からころも き: 着つつなれにし つ: つましあれば は: はるばる来ぬる た: たびをしぞ思う 在原業平 

5月はアヤメ,カキツバタの季節.といっても,カキツバタを近くで見たことのない私. Iris laevigata - Wikipedia ハナショウブを中心とした菖蒲園で見ることができるのでしょうか?多くは,より華やかなハナショウブ中心のようにも思いますが--- 実はまだ菖…

庭の菖蒲(あやめ)が開花しました.私の感覚ではアヤメは初夏を代表する花.今日は「あやめ」を詠んだ歌をいくつか取り上げます. ただし,古歌では「あやめ」といえば,今のショウブをさすことがほとんど.  五月雨に水まさるらしあやめ草末葉(うれは)隠れて刈る人のなき 源実朝 //  風の音たえたる庭に光と影あつめつつそよぐ文目草(あやめ)ひとむら 宮柊二

アヤメが咲きました. 例年並みの開花日かなと思います.そして,アヤメが咲くと「もう春は終わった」と感じます. 5月は暦の上では夏.今年の立夏は5月5日. ただし,5月は「初夏であって」「夏ではない」という矛盾したイメージを持っていますが. (…

松の花は,よく見るとなかなか美しい姿をしていて,元気をもらえる花です.松が短歌によく詠われているのは知つていましたが,松の花は?万葉集にも,後の勅撰和歌集,さらには明治以降も,数は多くないものの,しっかり詠まれていました!  うす曇る空に並み立つ松の花伸び急ぐ日を我らも忙(せは)し 窪田空穂

鎌倉は今日も曇り空で,夕方からは雨. 春とは思えない寒い日が続いていますが,植物の季節の営みを乱すほどではありません.晩春の花たち,藤,つつじは続々と咲き始めています. 一方,この季節にたくさん咲いているのに見逃されている花が沢山あります. …

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌4  うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲しも独しおもへば 大伴家持  穂村弘さん「前半は情景ですよね.自分の目で見たものが詠われていて,後半で自分の気持ちが詠われるんですけれど,そのコントラストが凄いんですよね」「このコントラストが現代の感覚にも通じるような気がします」 斎藤茂吉「万葉集の大部分の歌が対詠歌,この歌は,不思議にも独詠的な歌である.仏教的静観の趣でもある.これも家持の到り着いた一つの歌境であった」

NHKの番組「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選.これさえ覚えれば、あなたも短歌・俳句通!?」 で選ばれた万葉集の歌を取り上げてきました. 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選 - NHK (50首一覧は,次のサイトに掲…

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌3  世の中を憂しとやさしと思へども飛びた立ちかねつ鳥にしあらねば 山上憶良 栗木京子「貧困にあえぐ人たちに成り代わってというか、そういう人たちの立場に立って詠った,こういう厳しい世の中から逃げてしまいたいけれども,鳥のように翼があるわけではないので飛び立っていけない,そういう嘆きを詠っているわけです」 斎藤茂吉「長歌の方で,細かくいろいろと云ったから,概括的に締めくくったのだが,やはり貧乏人の言葉にして,その語気が出ている」

一昨日から, NHKの番組「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選.これさえ覚えれば、あなたも短歌・俳句通!?」 で選ばれた万葉集の歌を取り上げています. 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選 - NHK (50首一覧は,次の…

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌2  楽浪の志賀の唐崎幸くあれど大宮人の船待ちかねつ 柿本人麿  「柿本人麻呂は,宮廷歌人として,宮廷の人びとの心を詠う,それを個人的な感じで歌うところに特色があった」「全体が切実沈痛で,一点浮華の気をとどめて居らぬ.---一首全体の態度なり気魄(きはく)なりに同化せんことを努むべきである.」 

昨日から, NHKの番組「完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選.これさえ覚えれば、あなたも短歌・俳句通!?」 で選ばれた万葉集の歌を取り上げています. yachikusakusaki.hatenablog.com 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句1…

完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選に選ばれた万葉秀歌1 熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は榜ぎ出でな 額田王  斎藤茂吉評:当夜は月明であっただろう. 月が満月でほがらかに潮も満潮でゆたかに,一首の声調大きくゆらいで,古今に稀なる秀歌として現出した.そして五句とも句割がなくて整調し,句と句との続けに,「に」,「と」,「ば」,「ぬ」等の助詞が極めて自然に使われている--- 

1200年の歴史の短歌.世界に誇る日本文学の粋を,短歌界の最高の知性が集まり,50首を選び抜く. NHKが仕掛けた「粋」な番組.実際には俳句と組み合わせた番組ですが. 完全保存版 絶対覚えておきたい!究極の短歌・俳句100選 これさえ覚えれば、あなたも短歌…

鎌倉の桜は,この間の雨にも関わらずまだ花を楽しむことができます.現在市中で見かける桜はほどんどソメイヨシノですが,ソメイヨシノが生まれたのは明治時代ですから,それ以前の桜はソメイヨシノではないということ.短歌に詠われてきたのはほとんどがヤマザクラと思われます.一方,「山桜」と特定した短歌もあります. あしひきの山桜花一目だに君とし見てば我恋ひめやも 大伴家持  うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花 若山牧水

冬のような寒い雨が続き,桜も散ってしまったのでは? と思って出かけてみると--- 外見上は未だ立派な花を咲かせたままの桜が目につく鎌倉でした.よく見るとかなり散ってはいましたが. 後2-3日は楽しめるように思います.その後は桜吹雪も楽しめますね. …

柳 (1) 現在では「ヤナギ科ヤナギ亜科ヤナギ属の植物の総称」が「柳」の定義になっていますが,柳と聞いて思い浮かべるのは,シダレヤナギ(枝垂れ柳)でしょう.中国で,そして日本でもとても古くから利用されていたことが知られ,縄文前期の石斧(せきふ)の柄(え)などに使われたヤナギが出土しています.万葉集には,柳を詠んだ歌が26首あり,早春の景物として梅の花や鶯(うぐいす)と配合され,「青柳」「春柳」とよばれています. 春霞ながるるなべに青柳の枝くひもちて鶯鳴くも 作者不詳

「そういえば,最近,柳を見ていないな〜」 と思ったのは,“古今短歌歳時記”(鳥居正博著 教育社)で「短歌に詠まれている3月の植物」の項目を読み始めたとき. 行動範囲がとみに狭まったせいかと思います. 目にしている植物だけではなく,より広い植物と…

椿を求め源氏山公園,葛原が岡神社へ.いつものように寿福寺側から登ると,所々にスミレの葉が顔を出していました.名前が表示されている木が何本か:タブノキ,サカキ,スダジイ,シラカシ---源氏山一帯には,椿が沢山植樹され,今は見頃と言って良いでしょう. あしひきの八峰(やつお)の椿つらつらに見とも飽かめやうゑてける君 大伴家持

椿を求め,できれば,春の香りも味わいたいと,源氏山公園,葛原が岡神社へ. 登り口は,いつものように寿福寺側から,小さなトンネルを抜けて,坂道を上がりました. 所々に,スミレの新しい芽が顔を出していました. この葉は,アオイ? 江戸時代に新しく…

早咲きの梅を見に八幡宮へ.源平池の近くの白梅は三分咲き,国宝館の前の紅梅は5分咲きといったところ.蕾も美しい梅なので今が見頃と言っていいでしょう. 今日降りし雪に競(きほ)ひて我が屋前(やど)の冬木の梅は花咲きにけり /大伴家持   こがらしの吹ききよめたる朝空にはじけて梅の花しろく咲く /太田水穂

二月になれば梅が楽しみですが,待ちきれず,今年も早咲きの梅を見に八幡宮へ. 源平池の近くの白梅. 白旗神社に向かう道,国宝館の前の紅梅. 白梅は三分咲き,紅梅は5分咲きといったところでしょうか.今年の寒さで開花が遅いようです. しかし,つぼみも…

華やいだ気持ちになる,新しい年の初め,正月.しかし,いつまで正月なのでしょうか?三が日?松の内?しかし,正月の本来の意味は,「一年の一番初めの月」.すなわち一月を指します.ただ,もちろん『正月』三が日や松の内の意もこめられています.古歌では「むつき」と読ませますが.正月(むつき)立つけふここのへにふる雪や衣にうけしあとをしるらん 冷泉為相 冬枯のすすきのなかに大富士の雪坊主一つめでたき正月 太田水穂

正月. 以前ほどではありませんが,多くの方が華やいだ気持ちになる,新しい年の初め. 英語で正月は何て言う?初詣やおせち料理、お年玉を英語で説明してみよう! | 語学をもっと身近に「ECCフォリラン!」公式サイト しかし,いつまで正月なのでしょうか?…

elderberryとして広く知られているニワトコ.「ハリーポッター」にでてくる魔法の杖(「死の杖」「宿命の杖」)は,ニワトコでできている---- 別の見方をすれば,欧米でelder treeを知らない者はほとんどいないということ.日本では古事記,万葉集にニワトコの古名「やまたづ」が登場し,迎えの枕詞として使われます.万葉集では古事記の伝承をもとにした衣通王の詠んだ歌として紹介されています.ここで言う「古事記の伝承」は,兄妹の道ならぬ恋を描き,最終的には自死してしまう悲しい物語.

欧米では,elderberryとして広く知られているニワトコ. セイヨウカンボク - Wikipedia セイヨウニワトコの実はジャムやサプリメントとして利用されているようですが,最近では「Elder Wand ニワトコの杖」の名前がよく知られていますね. 世界中で大ヒット…

「臥猪の床」として平安時代以降,和歌などに取り上げられたイノシシ.“恐ろしき猪のししも、「ふす猪の床」と言へば、やさしくなりぬ。”(徒然草) しかし,古代においては,タンパク源であると同時に厄介で獰猛な獣としての位置づけでした.古事記では,クヌギに登って獲物を待っていたカゴサカ(応神天皇と異腹の御子)を食い殺す場面が描かれます.“そのクヌギの根元を掘って木を倒し,木の上にいたカゴサカを食い殺してしもうた”(三浦祐介訳 口語訳古事記)

江戸時代,絵画さらには花札に「臥猪の床」として描かれた猪. https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/10/08/235311 有形文化財 – 近世絵画コレクション - 千總文化研究所 / Institute for Chiso Arts and Culture もともとは平安時代以降の和…

鎌倉海蔵寺の萩は残念なことに,ほとんど散っていました.それでも青空をバックに見上げた枝は,なかなかの迫力.万葉集で最も多く取り上げられている萩は『さ雄鹿』『雁』『露』などと合わせて詠まれていて多彩.一方 花札でよく知られている「萩と猪」は江戸時代後期に好まれた画題.猪が萩などを倒してつくる寝床を「臥猪の床」といい,和歌などにも詠まれる定番の組み合わせでした.ただ「臥猪の床」は,必ずしも萩である必要はありませんでした.萩を描きこむことでより華やか絵柄として定着したように思われます.

10月だというのに暑い1日. まだ,萩は咲いているかな?と海蔵寺へ. 予想通り,そして残念なことに,ほとんど散っていました.それでも青空をバックに見上げた枝は,なかなかの迫力. 万葉集で最も多く取り上げられている花,萩. 真葛原 靡く(なびく)秋…

クヌギ (櫟・橡・櫪・椚・椢)/ ツルバミ 子供の頃拾ったドングリは,ほとんどコナラ.どこにでもあるとされているクヌギは,私の狭い活動範囲では見られませんでした.しかし,狭義のドングリはクヌギの実を意味します.染料,食用,糊料,薪炭,シイタケ培養原木と用途の広いクヌギは広葉樹の代表選手ですね.万葉集では衣服の色または染料としてのクヌギ=ツルバミが詠われています.紅は うつろふものぞ 橡の なれにし来ぬに なほしかめやも  大伴家持 

ドングリの季節ですね. 私が子供の頃拾ったドングリは,ほとんどコナラ.当時は,植物名は知らず,これこそドングリだと思い込んでいましたが. どこにでもあるとされているクヌギは,子供の頃の狭い活動範囲には見られず. マテバシイは遠くのお寺の境内に…

英勝寺の駐車場で立派なススキを見たことを思いだし,出かけてみましたが,残念なことに,今年の花穂はやや貧弱. ただ,英勝寺前の線路の路肩にススキの大群が自生していて,キラキラ耀いた花穂は青空に映えていました.雑草と思うと実にやっかいな相手ですが,こうしてゆったりした気持ちで眺めると,他の花にはない美しさを感じます.

昨日にもまして秋晴れの日. 英勝寺の駐車場で立派なススキを見たことを思いだし,出かけてみましたが,残念なことに,今年の花穂はやや貧弱. ただ,英勝寺前の線路の路肩にススキの大群が自生していました. 線路内には入れませんが,土手から花穂を見上げ…

インドハマユウ⇒アフリカハマユウ 鎌倉おんめさまの小径.アガパンサスが途切れた先に,大きく力強い白花.ユリかと思いましたが「インドハマユウ」の名がつけられていました.この立派な白花は,明治時代に導入. 長らくインドハマユウ Crinum latifolium とされてきました.ところが--- 後に,南アフリカ原産のCrinum bulbispermumと判明.白花は,かなり珍しいようで,導入されたのが白花だったため,同定に手間取ったと言えそうです.

アガパンサスで美しく装われた鎌倉おんめさま(大巧寺)の小径. アガパンサスが途切れたすぐその先に,大きく力強い白花が. ユリかと思いましたが,葉は全く違う形状.「インドハマユウ」の名がつけられていました. ハマユウなのに,花がこれほど百合に似…

アカネ科の植物.ハクチョウゲ,ヤエムグラに続いて我が家の三種目はヘクソカズラ.悪臭で知られますが,かわいらしい花を咲かせます.花は美しいのですが,花の中には「剛毛」があって,小さい虫は入っていけず,みつばち等などだけに蜜を提供しているとか.ヘクソカズラヒゲナガアブラムシという虫は.ヘクソカズラを傷つけて,臭いをだして,それを食べて,体内にため込み自分を臭くすることによって,アブラムシの天敵であるテントウムシに食べられないようにしているそうです. 生物の世界って不思議です

ツタ性の雑草はやっかいです. 我が家の最も目立つツタ性雑草はヤブカラシ. その他に2種類. 葉だけでは私には区別ができません.またしてもPictureThisの登場. 写真上の判定は「ナガイモ」(ヤマノイモ科ヤマノイモ属) どこにでも見かける葉です.根を…

我が家には,白丁花の他にアカネ科の植物があります.ヤエムグラ(八重葎).庭の至る所に生えているのですが,念のためPictureThisで確認したところ,思わぬ答えが.「シラホシムグラ」.見分け方にある「細かい毛」は我が家の標本には少なく.5月の今,すでに果実期であることから,PictureThisに逆らって,八重葎とさせてもらいました.ただし,万葉集にあるヤエムグラは,このヤエムグラではないとの説が有力. 思ふ人 来むと知りせば やへむぐら 覆へる庭に玉敷かましを 万葉集 

我が家の庭の片隅に生えていた小木・ハクチョウゲ(白丁花)は,アカネ科ハクチョウゲ属. 我が家にはアカネ科の植物が他にもあります. ヤエムグラ(八重葎). 庭の至る所に生えているのですが,目立っているのは,今は倒れているスイセンの葉っぱの間から…

古事記,万葉集の「ウリ」は,マクワウリのことでした.「まるで良く熟れたウリを切り刻むがごとく,クマソタケルの体をずたずたに切り刻んで殺してしもうたのじゃった」(古事記).「瓜食めば, 子ども思ほゆ,栗食めば,まして偲はゆ」(万葉集).そして,このマクワウリとシロウリ,さらにはメロンも同一の種. 「ウリ」(瓜)2

古代の「ウリ」は,マクワウリのことでした. ウリ(瓜)とは - コトバンク マクワウリ - Wikipedia 古事記では,ヤマトタケルの猛々しく荒々しい心が生んだ凄惨な殺害の様子が,「まるで良く熟れたウリを切り刻むがごとく」と表されています. http://yachiku…

万葉集「山菅」の候補とされているヤブラン,ジャノヒゲがキジカクシ科スズラン亜科と知って,なるほど!と思いました.ヤブラン,ジャノヒゲ,さらにはオモト,それぞれの根は,スズラン同様,皆立派なものです.そして,山菅は花でも実でも,そして葉でもなく,根が注目されて歌に詠み込まれています.折口信夫は,「麦門冬」(原植物ジャノヒゲ/ヤブラン)を山菅の現代語訳としていますが, このブログで,だらだらと何日間か山菅とつきあううちに,私も,山菅=麦門冬が正しいと思えてきました.根の形状が決め手です.

スズラン. 愛らしい花ですが,ビックリするのはその根を見た時. 一度でも栽培したことのある方なら,同じように思われたのでは? スズランとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版 http://www.okadanouen.com/zukan/doitusuzuran.html 根付きのス…

山菅(やますげ/やますが) “菅の根”を含めると,万葉集で32首も詠まれています.日本国語大辞典では万葉集の山菅を「山に生えているスゲ」としていますが,生薬「麦門冬」の和名が山菅(也末須介)との記載が「本草和名」にあり,この生薬の原植物ジャノヒゲ,その代用品となるヤブランが山菅の候補となります. あしひきの岩根こごしみ菅根(すがのね)を引かば難みと標(しめ)のみそ結ふ 万葉集

万葉集に14首詠まれている山菅(やますげ/やますが). たのしい万葉集: 山菅(やますげ)を詠んだ歌 また,“菅の根”が詠まれている歌は少なくとも18首あり, 跡見群芳譜(文藝譜 「万葉集」スゲをよむ歌) この菅の根は山菅の根の意とされています. 菅の根 すが…

スゲ(菅)3  万葉集には菅とは別に山菅を詠んだ歌が14首あります.日本国語大辞典は,万葉集にある“山菅”は「山に生えているスゲの類」としていますが,漢名の麦門冬に当たる植物,すなわち,ヤブランまたはジャノヒゲとする説もあります. 山菅(やますげ/やますが) 万葉集 咲く花は,移ろふ時あり,あしひきの,山菅(やますが)の根し,長くはありけり  大伴家持 巻二十 4484

古事記では, イワレビコ(神武天皇)がイスケヨリヒメとの一夜の契りを懐かしんだ歌にも,管畳(すがだたみ)として詠われた菅(すげ/すが). http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/11/29/225404 あしはらの しげしきをやに すがたたみ いや…

スゲ(菅)2  古事記と同時代の万葉集では,菅は頻出しています.菅を詠む歌は45(49 / 44)首あって,万葉の草花としては6番目に多く詠まれている植物とされています.ただし,万葉集には山菅という植物が詠まれいて,これは湿地や池に生えるスゲとは別種の植物.そして,菅を詠んだ歌の中で「菅の根」とあるのは山菅とされるため,万葉の草花としての順位は9番目がより正確かもしれません. 大君の 御笠に縫へる 有馬菅 有りつつ見れど 事無き吾妹  作者不詳 万葉集巻十一 2767(2757)

「菅」は古事記で三カ所で記されています. その内の二カ所では,菅で作られた畳,管畳(すがだたみ)として描かれ,昨日とりあげたイワレビコ(神武天皇)がイスケヨリヒメとの一夜の契りを懐かしんだ歌はその内の一つ. あしはらの しげしきをやに すがた…

イヌタデ属には.小さくてかわいらしい花をつける植物が沢山あります.サクラタデ.ミズヒキ,イヌタデ,ミゾソバ----.イヌタデは食べられますが,食べられるといえば何といってもヤナギタデ.江戸時代には立派な野菜とみなされていたようです.我が宿の 穂蓼古幹摘み生し 実になるまでに 君をし待たむ 万葉集

昨日とりあげたサクラタデ.その花は,小さなかわいらしい姿をしていました. 他のサイトの画像をお借りすると----その美しさがひときわ輝いています. https://matsue-hana.com/hana/sakuratade.html サクラタデは,タデ科イヌタデ属の植物. 身近なところ…

日本最古の果物の一つともいえるナシ.古代では五穀を助ける救荒作物の一つ.万葉集にも詠まれています. しかし,「ナシ」という音を掛詞に使っていたり,紅葉が詠まれたり,食べる果実としてのナシは登場しません.梨の花は,絶世の美女・楊貴妃が涙ぐんでいる様子に例えられた(長恨歌)美しい花ですが,これも万葉集では詠まれていません.ナシが果樹園で栽培されるようになったのは江戸時代中期.以降,続々と新しい品種が選抜されたり,生み出されてきました.

日本最古の果物の一つともいえるナシ(梨,ニホンナシ). 縄文,弥生の遺跡からも出土し(データベースれきはく),日本書紀,正倉院文書にもその記載があります. ただし,当時は,現在私たちイメージする「果物」ではなかったでしょう. 日本書紀の記述で…